中国金融政策、来年は「適度に緩和的」 成長促進へ10年以来の転換
Kevin Yao Ellen Zhang [北京 9日 ロイター] - 中国共産党中央政治局常務委員会は来年、経済成長を支えるためにより積極的な財政政策と併せて「適度に緩和的な」金融政策を導入すると発表した。国営新華社通信が9日伝えた。2010年以来の緩和に向けた政策転換となる。 当局はより積極的な財政政策を実施し、「非伝統的な」景気循環調整を強化すると表明した。 消費を「積極的に」促進し、内需を「あらゆる面で」拡大する必要があると指摘した。 当局は来年、「安定を維持しながら進歩を追求する原則」を堅持し、進歩を活用して安定を確保し、イノベーションを推進していく方針を示した。 「より積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策を実施し、政策手段を拡充・改良し、非伝統的な景気循環調整を強化する必要がある」と言及した。 住宅市場と株式市場を安定させる必要があると訴えたが、詳細は明らかにしなかった。 会議の結果を受けて、香港株式市場でハンセン指数が2.8%上昇し、1カ月ぶりの高値を付けた。中国国債も上昇した。 政治局会議の公式発表によると、金融政策に関する新たな表現は、10年終盤以来の金融スタンスの緩和となる。 中国人民銀行(中央銀行)は、「緩和的」「適度に緩和的」「穏健な」「適切に引き締め的」「引き締め的」という5段階の政策スタンスを示しており、それぞれのスタンスに柔軟性を持たせている。 人民銀は08年の世界金融危機後に適度に緩和的な金融政策を採用し、10年後半に穏健な政策に転換した。 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は「これは25年に強力な財政刺激策、大幅な利下げ、資産購入が行われることを示唆している」と述べた。また「政策のトーンは、関税という(次期米大統領)トランプ氏の圧力に対する強い自信を示している」との見方を示した。 人民銀は9月に利下げするとともに金融システムに1兆元(1400億ドル)を注入するなど、新型コロナ危機以降で最も積極的な金融緩和策を打ち出した。 中国は今年、5%前後の成長目標を達成できる可能性があるものの、トランプ氏が中国からの輸入品に追加関税を課す構えを見せていることから、来年も現在の成長ペースを維持するのは難しいとみられる。