相続放棄したあとに「1億円」の遺産が見つかった!知らなかったのはしょうがないし、放棄の取り消しはできますか?
「親に数百万円の借金があった」「相続手続きをしたくない」などの理由で、相続放棄を選択するケースがあります。しかし、相続放棄後に財産が見つかる可能性もゼロではないでしょう。相続放棄をすると、あとから財産が見つかっても受け取れない可能性があるため慎重な判断が必要です。 今回は、相続放棄の取り消しができない理由や、相続放棄をする際の注意点についてご紹介します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続放棄の取り消しはできない可能性がある
相続放棄をしたあとに多額の財産が見つかっても、基本的に相続放棄を取り消すことはできないようです。裁判所によると、「相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないこと」とされています。 相続放棄をする前に見つかっていた財産だけでなく、相続放棄後に見つかった財産の相続権利も放棄しなくてはなりません。そのため、相続放棄後に1億円が見つかったとしても、自分を除いたほかの相続人で財産を分割することになるでしょう。 相続放棄の撤回は基本的にはできませんが、条件を満たしていれば取り消せる可能性もあります。例えば、民法第95条に「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる」と定められています。「次に掲げる錯誤」の内容は、以下の通りです。 一:意思表示に対応する意思を欠く錯誤 二:表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤 もし相続に関して重大な勘違いをしており、その勘違いによって相続放棄をしたと認められれば撤回が可能です。また、詐欺や脅迫を受けて相続放棄をしたと判断されたときも取り消せる可能性があるようです。 もし上記に該当する場合は、取り消しができるかを専門家に相談してから家庭裁判所へ申し立てましょう。
相続放棄をするにあたっての注意点
相続放棄をする前に、見落としている財産がないかをよく確認しておきましょう。相続放棄後は相続財産を処分したり取得したりといった行為はできません。相続財産に関する権利を一切失っているためです。 相続は、現金や宝石といったプラスの財産のほかに借金などマイナスの財産も引き継ぐことになります。知られていない預金や借金があとから見つかるケースもあるため、購入履歴なども確認しておいた方がいいでしょう。 事前調査で借金が多いようであれば相続放棄をする方が負担も減ります。プラスの財産が多ければ相続放棄をしない方がいいかもしれません。