辛勝もツールへ弾みの「ログリッチ劇場」 “最終日男”ヨルゲンソンは不運続くヴィスマの救世主になるか【Cycle*2024 クリテリウム・デュ・ドーフィネ:レビュー】
アクシデントを乗り越え、アルプスに入ったプロトン。第6ステージでは、ジャイ・ヒンドレーとアレクサンドル・ウラソフのアシストを受けたログリッチがついに勝利。懸命に食らいついたジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック)を残り300mで振り切り、単独でフィニッシュへ。レースリーダーだったレムコが42秒遅れたため、マイヨ・ジョーヌはログリッチに渡った。ちなみに、後に激戦となるヨルゲンソンとの総合タイム差は、この時点では58秒だった。
ログリッチは第7ステージでも強かった。この日の最終登坂・超級山岳サモエンヌ1600(登坂距離10km・平均勾配9.3%)を迎えた時点で4分以上あった逃げとの差は、前日に続くヒンドレーとウラソフの牽引で一気に縮まる。メイン集団の人数は急激に減り、残り7kmではレムコも遅れた。ただひとり逃げ続けたマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ)を残り2.1kmで捕らえると、ウラソフの牽きに耐えられたのは8選手だけ。最後は上りスプリントの様相となって、ログリッチが2連勝。ヨルゲンソンが同タイムで続いた。
そして、第8ステージは前記の通り。強力なアシストに支えられながら持ち味を発揮したログリッチと、尻上がりに調子を上げたヨルゲンソン。この2人が紛れもなく、今大会の主役であった。 ツールに向けて、好感触を得た選手も、かたや不安を残した選手も、残すは3週間。ドーフィネで得た手ごたえと課題を短期間で調整し、本番を迎える。この大会と入れ替わるようにして、もうひとつの前哨戦であるツール・ド・スイスも始まり、注目すべきトピックが新たに飛び込んでくることだろう。
主役候補の選手たちの動向や、各チームのメンバー編成がいかなるものとなるか。われわれにとっては、ツールへ思いを馳せる至福の時期を迎えている。
文:福光 俊介
福光 俊介
【関連記事】
- 参戦ライダーの顔触れはもはや「ツール・ド・フランス」 前哨戦ドーフィネでひと足早くログリッチvs.レムコの対戦が実現!【Cycle*2024 クリテリウム・デュ・ドーフィネ:プレビュー】
- 【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第21ステージ】ポガチャルが独占した3週間が、華やかに幕を下ろす。「ファンタスティックなジロだった。すべてが素晴らしい経験だった」
- 【速報 ジロ・デ・イタリア2024】第107回大会はポガチャルが総合優勝、メルリール区間3勝目/第21ステージ
- 【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第20ステージ】ポガチャル6勝目で有終の美。ツールに向け最終準備も完了。「ジロを良い気分で、良い脚で、良い体調で終えられた」
- 【速報 ジロ・デ・イタリア2024】圧倒的強さのポガチャル、区間6勝目、総合タイムは9分56秒差、山岳賞は64ポイント差/第20ステージ