辛勝もツールへ弾みの「ログリッチ劇場」 “最終日男”ヨルゲンソンは不運続くヴィスマの救世主になるか【Cycle*2024 クリテリウム・デュ・ドーフィネ:レビュー】
ツール本番に向けて、この走りを「まだベストコンディションではないだろうから」と見るべきか、脆さを露呈したと捉えるべきか…それは3週間後に分かる。第5ステージで発生したクラッシュ(後述)の影響が、少なからずあったかもしれない点も考慮しておきたい。 「ツール? 誰もが同じ可能性を持っていると思っている。個人総合優勝を果たせるかもしれないし、2位かもしれないし、3位かもしれない。チーム一丸となって戦うだけだよ。まずはドーフィネの疲れを癒して、リラックスした状態でツールに向かいたいね」(ログリッチ)
パリ~ニースに続いて最終ステージでの猛攻を見せたヨルゲンソン。あのときのように大逆転での個人総合優勝とはならなかったが、1週間をハイアベレージで走り抜き、最後の最後にライバルを脅かすあたりはもはや“最終日男”。
「プリモシュが苦しそうにしているのが見えたので、これは行くしかないと。正直僕も脚にきていたのだけれど、後ろは振り返らず、チームカーからの情報だけを頼りに走り続けた。自分らしく、最後まで全力を尽くせて満足しているよ」(ヨルゲンソン)
こうなると、チームで最も状態の良いヨルゲンソンに、不運が続くヴィスマ・リースアバイクの救世主としての期待が膨らむ。絶対エースのヨナス・ヴィンゲゴーがツールまでに戻ってこられるかはいまだ不透明。怪我からの回復が伝えられているとはいえ、彼と並ぶ立場の選手は配備しておきたい。その一番手と見られていたセップ・クスがこのレースでアピールできず、第8ステージの出走を取りやめ。第5ステージの大規模クラッシュでは、ステフェン・クライスヴァイクとディラン・ファンバーレが戦線を離脱した。
グランツールをすべて制した昨年とは真逆のチーム状態を脱却するキーマンに、ヨルゲンソンはなれるだろうか。移籍加入1年目からチームの牽引役となった24歳のアメリカンオールラウンダーに、大きな任務が課されようとしている。
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