アーサーヘイズ、利下げまでビットコインは5万ドルまで下落する可能性ありと予想
長期的には強気予想
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)の共同創業者で元CEOのアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏が、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産の価格に影響を与える複数の可能性を考察。同氏が9月3日に公開したブログ記事「好景気は遅れ気味(Boom Times... Delayed)」にて概説している。 ドルの流動性と連邦準備制度理事会(FRB)の政策の影響を重視しているヘイズ氏は、「(8月23日から開催されたジャクソン・ホール会議での)パウエル議長の講演直後から連邦準備制度理事会(FRB)のリバース・レポ・プログラム(RRP)の残高は上昇し始めた」とし、「ビットコインは当初、パウエル議長のピボット(方針転換)の日に64,000ドルまで急騰したが、先週1週間でその価格の10%を失った」と指摘。 同氏は、ビットコインがドルの流動性状況を追跡する最も敏感な商品であると考えており、「RRPが上昇するとFRBのバランスシート上に資金が滞留することになり、グローバルな金融システム内で再投資やレバレッジできなくなるため、金融システムから流動性が失われることになる」と説明。その結果「RRPが1,200億ドル程度上昇し始めると、ビットコインは急落した」とヘイズ氏は述べている。 さらにヘイズ氏は、「FRBが9月会合(9月17日・18日開催)までに利下げを行わないと仮定すると、米国財務省による国庫短期証券(T-bill)利回りはRRP利回りをしっかりと下回る」と予想。「そのため、RRP残高は上昇を続けるはずであり、ビットコインは、よくてもこの水準付近で推移し、最悪の場合50,000ドルに向かってゆっくりと下降していくだろう」と考察している。 またヘイズ氏は、中央銀行や政府による介入は9月下旬に始まると予想。それまでは相場が悪化する可能性があるとし、「ビットコインは、乱高下が続く程度で、アルトコインはさらに下落する可能性がある」と予想した。 なおヘイズ氏は暗号資産に対し長期的な強気予想を示しており、「私は9月に強気相場が新たに始まると公言した。私は考えを変えたが、それは私のポジショニングには全く影響しない。私は相変わらずアンレバレッジで超ロングポジションを維持している」と述べている。 ヘイズ氏は長期的な見解として、FRBはお金を増刷しマネーサプライ(資金流通量)を増やすと考えている。またヘイズ氏は、このエッセイは、「現在の金融や政治的な出来事を整理し、自身の長期的な仮説が有効かどうかを観察するため」に書いているとしたが、「近い将来、私の短期的な予測がより的確になる日が来ることを約束する。(たぶん.....そうなるといいな)」とブログを結んでいる。
髙橋知里(幻冬舎 あたらしい経済)