「家出」から「ひきこもり」へ。「シンナー」は減少、「パパ活」が増加…10代の非行が形を変えて深刻化したワケ
従来の「シンナー」といった物質依存型の10代の非行は減少傾向にある一方、「ゲーム依存」「ひきこもり」「パパ活」など、より複雑な問題が浮上しています。これらの変化は、経済格差の拡大、情報化社会の進展、核家族化など、社会構造の変化と深く結びついています。10代の非行は、本人だけでなく、社会全体にも大きな影響を与えます。教育の機会を逸したり、将来の就業に支障をきたしたりすることで、生産年齢人口の減少や、社会保障費の増大といった経済的な負担を増大させる可能性があります。また、犯罪に繋がり、社会不安を煽るなど、社会全体の安定を脅かす要因にも。本記事では、子どもこころ専門医・指導医である舩渡川智之氏監修の書籍『思春期の子の「うつ」がよくわかる本』(大和出版)より、社会のしくみから外れた子どもについて解説していきます。 都道府県「1世帯当たりのお年玉支出額」ランキング
社会のしくみから外れた子
外来では「子どもが理解できない」と言う親御さんの声をよく聞きます。けれども、昔といまの子どもにはそれほど大きな違いはありません。 いまも昔も思春期の本質は変わらない 昔の10代は、親に反抗して家出したり、シンナーや違法薬物の使用、窃盗などの犯罪に手を染めたりするケースがよくありました。たしかにいま日本では、こうした非行問題は減少しています。一方、ゲーム依存やひきこもり、不登校などが増えています。SNSを使って、いわゆる「パパ活」をする女の子もいます。 子どもがエネルギーを外に発散させることが減ったように見えるのでしょう。親御さんは「おとなしすぎる」と思うかもしれませんが、いまの子はネットやSNSを利用し、自分の世界の内側でエネルギーを発散させています。たとえば、部屋にひきこもりながらネットゲームに没入し、雄叫びを上げて闘志をむき出しにして、殺戮ゲームにいそしむ子どももたくさんいます。インターネットという新たな世界が生まれただけで、思春期の本質はなにも変わっていないのです。