「ふるさと納税で多額収入→交付税減」国と市の訴訟、最高裁が弁論へ
ふるさと納税で多額の寄付収入を得たことを理由に、国が特別交付税を減額したのは違法だとして、大阪府泉佐野市が減額決定の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(岡正晶裁判長)は5日、市と国の双方の意見を聞く弁論を来年1月30日に開くと決めた。 【上位10位】寄付を多く集めた自治体は 最高裁の弁論は二審の結論を変えるのに必要な手続き。「交付税分配をめぐる行政同士の争いは裁判の判断対象にならない」として、市側を逆転敗訴とした二審・大阪高裁判決を見直す可能性がある。 ふるさと納税は返礼品競争の過熱が問題視され、総務省は省令改正で寄付収入が特に多い自治体の特別交付税を減らした。泉佐野市は2019年度、交付額が前年度比89%減の約5300万円だった。 ■「市の訴えは裁判の対象か」最高裁が初判断へ 訴訟では(1)市の訴えは裁判の対象になるか(2)対象になる場合、減額は違法か――が争われた。二審は(1)を「対象にあたらない」として市の訴えを却下した。最高裁は(1)について初めて判断を示し、(2)は判断しない見通しだ。 一審・大阪地裁は市側の訴えを認め、国による減額処分を取り消した。しかし二審は、国と地方自治体による紛争は、行政内部の調整や、国会審議などを通じて解決されるのが基本だと指摘。交付税の分配をめぐる争いは、裁判で適否を判断できる対象ではないとして、減額処分の違法性を検討しないまま市側を敗訴とした。(遠藤隆史)
朝日新聞社