バス運休、通院難民……「公共交通の崩壊」がもたらす想像以上の大ダメージ! なぜ、経済合理性だけで判断してはいけないのか?
公共交通の重要性
鉄道やバスなどの公共交通は、地方ではマイカーの普及と人口減少によって経営が厳しくなっている。都市部でも運転手不足が原因で減便や運休が発生している。 【画像】「なんとぉぉぉぉ!」 これがバスドライバーの「平均年収」です! グラフで見る(14枚) しかし、公共交通が利用できなくなると、 ・通勤 ・通学 ・通院 ・買い物 などに支障をきたし、多くの人たちの生活に大きな影響を与えることになる。 採算が取れないからといって、このまま公共交通が衰退するのを放置していいのだろうか。公共交通は ・福祉 ・医療政策 にも関わり、心理的な効果もある。本稿では、経済的な効果だけでは測れない公共交通の価値について、改めて考えてみたい。
再整備で地域活性化
都市部では、公共交通の積極的な利用が渋滞の緩和につながると期待されている。バスなどは、マイカーと比べて 「ひとりあたりの占有面積」 が小さいため、交通量を減らすことができる。 また、多くの人を一度に運ぶことができ、輸送効率が高くなる。この結果、環境への負荷も低減され、CO2や窒素酸化物(NOx)などの排出量を減らすことができる(ただし、乗客がほとんどいない場合には、逆に環境負荷が大きくなることもある)。 公共交通が再整備され、より便利で使いやすくなれば、 ・マイカーを持たない人たち ・マイカーを持てない人たち も外出しやすくなり、地域の交流が進むことで地域経済の活性化につながる。
移動制約者への影響と解決策
公共交通は、前述のような経済的効果だけでなく、社会全体にも大きな貢献をしている。通勤・通学、通院、文化活動への参加など、さまざまな活動を支える重要な役割を果たしている。 この点を軽視すると、高齢者や障がい者、子どもなどの「移動制約者」(近年では交通弱者という言葉の「弱者」が差別的とされ、このように呼ばれる)が生活に支障をきたすことになる。 通学手段が制限されることで、進学したい学校の選択肢が狭まり、働きたい会社や職種に就けなくなるなど、移動制約によって不利益を被る層が増え、社会の格差が広がる可能性がある。 公共交通は、こうした格差を防ぎ、さまざまな人たちに活躍の機会や場を提供するための重要な手段のひとつである。