「まともに練習もしなかった」原晋監督が後悔する“スカウトの失敗”…「絶対やってはいけないことがあります」青学大“選手採用の掟”とは?
原監督が後悔する“スカウトの失敗”とは
Win – Winの関係が監督と選手、あるいは部員間にも必要だと実感したのは、監督就任3年目に経験したスカウトの失敗があったからです。 3年契約で監督に就任した私は、3年目はどうしても結果が欲しいと焦っていました。そこで、記録優先で選手をスカウトすることに決めたのです。入部が決まったのは持ちタイムで全国ランキングでも上位の即戦力といえる選手たちでした。これで最初の目標である箱根駅伝出場を達成できると思ったのです。 しかし、その目論見はもろくも崩れました。 お願いして来てもらった選手たちは寮則、門限を守らず、まともに練習もしなかったのです。しかし、ずば抜けた素質を持っていたことで、他の部員は腫れ物にさわるように遠巻きに見ているしかありません。 彼らには「来てやったんだ」という思いが強かったのだろうと思います。逆に、監督のほうが「とってやった」と思ったら、選手が萎縮します。どちらの場合もうまくいきません。
「私は君をとってやったと思わない。だから…」
だから、私はスカウトする学生にはっきりと伝えています。 「私は君をとってやったと思わない。だから君も来てやったと思わないでほしい。お互い一つの目標に向かって努力しよう。私だけが頑張るんじゃない。君だけが頑張るのでもない。私の仕事は君が頑張るのを手伝うこと。頑張らない君の首根っこを捕まえて頑張らせるようなことはしないからね」 お互いにメリットがある関係がなければ、組織も人も伸びないということです。《第2回に続く》
(「Number Ex」原晋 = 文)
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