なぜ井岡一翔は井上尚弥を超える世界的な認知度&評価を得ることができていないのか…米専門サイトが“謎”に迫る…今日WBA&IBF統一戦も米でライブ放送&配信はなし
プロボクシングのスーパーフライ級の2団体統一戦(7日・両国国技館)の前日計量が6日、都内の品川プリンスホテルで行われ、WBA世界同級王者の井岡一翔(35、志成)と、IBF世界同級王者のフェルナンド・マルティネス(32、アルゼンチン)が共にリミット(52.1キロ)を一発でクリアした。井岡が勝てば世界戦通算23勝となり、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)を抜き日本人単独最多となり、世界の現役ボクサーとしてもミドル級の“レジェンド”ゲンナジー・ゴロフキン(42、カザフスタン)に並ぶ。だが、世界的な知名度と評価は、井上に比べると低く、リング誌のパウンド・フォー・パウンドにもランキングされていない。なぜなのか。米専門サイト「ボクシングシーン」が、その謎に迫る解説記事を掲載した。 【画像】スポーティな白黒コスチュームのラウンドガールが世界戦に華を添える
井岡が“モンスター”井上と争っているのが世界戦の日本人最多勝利数だ。5月6日の東京ドーム決戦で“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)を倒した井上が22勝で井岡に並んだが、今日7日に井岡がマルティネスとの統一戦に勝利すれば23勝で再び単独トップに躍り出る。 それでも井岡は記録や過去を振り返らない。 「これだけの世界戦の経験を生かして、今回の試合に臨むが、過去の経験より、これからの挑戦の方が大事。やってきたことにとらわれず、次の挑戦に向けての気持ちをより強く持って挑んでいきたい」 そして「圧倒的な強さを見せて統一する」と続けた。 日本人初の4階級制覇を成し遂げた井岡は、キャリアでは井上を上回っているが、世界、特に全米での知名度や評価は高くない。 リング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングでも、ヘビー級の4団体統一王者となったオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)にトップの座を明け渡した後も井上は2位をキープしているが、井岡は10位までに入っていない。井上は世界戦22勝のうち20勝がKO。一方の井岡は11KOで、インパクトの度合いはとても及ばないが、そのディフェンスやカウンターを含めた玄人好みのテクニックは、世界でもトップ級。なのになぜ世界的な評価に、これほどまでの差があるのか。 米専門サイト「ボクシングシーン」が井岡の七夕決戦を前に、その謎に迫る特集記事を掲載した。 同サイトは「井岡は、将来殿堂入りを果たすかもしれない選手だが、なぜ彼について語る人が少ないのだろうか?」と問いかけ、2つの理由を列挙した。 ⓵「米国の観客が彼の試合を(配信や放送で)観戦することが難しい」 ②「彼の同郷人である井上のその華麗なスタイルのおかげですべての(メディアの)話題をもっていかれている」 同サイトは、今日7日のマルティネスとの統一戦の放映、配信が米国でないことを「明確な観戦方法がなく、多くの人が何を見逃したかさえわからない」と問題視した。 今回の試合はアルゼンチンなど世界50か国でESPNがライブ配信するが、米国での配信はない。同サイトは「31勝(16KO)2敗1分けの井岡は、井上より先に4階級制覇の偉業を成し遂げた初の日本人ファイターとなった。2009年にプロ転向して以来、17度タイトルの防衛を果たしており、これは『4本のベルト時代』の基準から見ても信じられない数字だが、彼は、この時代の忘れ去られた男のままである」と指摘した。 同サイトは井岡の過去の戦績についても詳しく紹介した。 井岡が井上と対照的に全米での評価を受けることが少ない理由の典型例として、2015年4月にWBA世界フライ級王者のフアン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)を2-0判定で破り、3階級制覇を達成した試合を取り上げた。 「この戦いは世界的な話題になることはなかったが結果は素晴らしいという井岡のキャリアを象徴しているものだった。ワンパンチでノックアウトすることが多い井上とは異なり、井岡は過小評価されている相手を接戦で下す」 井岡がレベコとの再戦にTKO勝利で決着をつけ、当時、フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)がWBA世界同級スーパー王者だったため、統一戦の気運が高まったが、「エストラーダは王座を返上し、スーパーフライ級に転級した。今となっては、これが(全米で井岡が名を売る絶好の)機会の損失だった」と解説した。
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