【全国高校ラグビー準々決勝】“無敗王者”大阪桐蔭を破った桐蔭学園の申主将「取り組んできたことが全部出せた」 激戦を制して常翔学園・東海大大阪仰星・国学院栃木と共に準決勝へ!
<桐蔭学園vs大阪桐蔭>優勝候補の両雄が激突!春のリベンジを果たす
第3試合は大阪桐蔭(大阪)と桐蔭学園(神奈川)。今シーズンの高校ラグビー界をリードしてきた優勝候補の両雄が激突し、期待にたがわぬハイレベルな攻防となりました。 前半、先にペースをつかんだのは、今シーズン15人制では無敗で、春の選抜大会とGWのサニックスワールドユース大会で2冠を手にしている大阪桐蔭。キックオフからの最初のプレーで、WTB須田琥珀選手が桐蔭学園のキックをチャージし、そのままインゴールでボールを押さえてノーホイッスルトライ。ゴールも決めて7点をリードします。さらに3分、素早いパス回しでFB吉川大惺選手が桐蔭ディフェンスの裏に抜け出すと、インゴールへ蹴り込んだボールを拾ったSH川端隆馬選手が中央に回り込んでトライ。ゴールも決めて14対0とリードをひろげます。 しかし、キャプテンの申驥世選手が「3回戦のあと、大阪桐蔭を想定して何度もミーティングを重ねる中で、先に失点することも想定していた」という桐蔭学園。ここから落ち着いてゲームを立て直します。春に負けた時から大阪桐蔭に勝つためにブレイクダウンの圧力、ディフェンス強さを想定し、そこで上回ることを念頭に練習を積み重ねてきたという桐蔭学園は徐々にボールの支配率を高めていくと、16分には敵陣ゴール前のモールを押し込んだ後、FW陣の執拗な連続攻撃から最後はPR石原遼選手がインゴールにボールをねじ込んでトライ。14対7と7点差に詰め寄りました。 ここからが本当の勝負。その後は、両チームの攻撃をお互いが固いディフェンスで凌いでいく、我慢比べの時間帯が続きます。試合が動いたのは後半4分。桐蔭学園が持ち味である強靭なフィットネスを武器に、ついに大阪桐蔭の分厚いディフェンスを打ち破ります。春からは各段にスケールアップした接点での強さを発揮し、連続してボールをリサイクルしながら、右に左に攻撃を仕掛けていくと、最後はディフェンスのギャップをついてSO丹羽雄丸選手が中央にトライ。ゴールも決めて14対14の同点に追いつきました。 このトライで勢いが増した桐蔭学園。その後も継続してボールを支配して攻撃を続けると、後半7分には連続攻撃を警戒して前への意識が強くなった大阪桐蔭の裏を突き、SO丹羽選手のキックパスを大外でキャッチしたWTB草薙拓海選手が右隅に飛び込んで、ついに19対14と逆転に成功します。 試合の後半に入ってから、今シーズン初めてリードされる展開に持ち込まれた大阪桐蔭。この後、懸命の反撃を試みます。しかし、SH川端選手が「いつもなら、FWの接点のところで少し前に出てくれるので、そこから10番の上田倭楓選手と(余裕をもって)ゲームを組み立てることができたが、きょうは桐蔭学園の圧力にさらされて、なかなか思ったゲームメイクができなかった」と振りかえったように、桐蔭学園の強さ・速さの前になかなか有効な攻撃を展開できません。 逆に桐蔭学園は16分、大阪桐蔭陣内22mライン中央でのスクラムを獲得すると、大阪桐蔭のディフェンスをよく見た丹羽選手が絶妙のキックをインゴールに転がすと、このプレーの直前に投入された途中出場の坪井悠選手がインゴールで抑えてトライ。ゴールも決めて26対14として勝負の流れを決定づけました。 「春に敗れた時、本当に大阪桐蔭は強かった。大阪桐蔭がいたからこそ、目標を立ててここまで強くなることができた。きょうは自分たちが取り組んできたことが全部出せた」と語った申主将。 一方「ずっとチャレンジャーでいようとしたが、途中から相手にペースをつかまれて、なかなか盛り返すことができなかった。いつものいいディフェンスができなかったのが敗因。本当に悔しい。ただ、全て出し切ったので悔いはない。素晴らしい仲間と巡り会えた。(自分にとって)宝物となった3年間だった」と振りかえった大阪桐蔭・名取凛之輔主将。その後は両チームとも無得点でノーサイド。注目の大一番は、春の選抜大会のリベンジを果たした桐蔭学園が26対14で勝利して幕を閉じました。