世界最大のサンゴを発見、宇宙から見える巨大さで推定300歳、南太平洋ソロモン諸島沖
長さ34m、高さ5mのコモンシコロサンゴ、「海に対する畏敬と驚嘆の念を改めて呼び起こす発見」
海面からそれを見たときには、大昔に海底に沈んだ難破船のように思われた。しかし、カメラマンのマヌ・サン・フェリックス氏が確認のために海に潜ると、驚くほど巨大なサンゴであることが分かった。 ギャラリー:世界最大のサンゴを発見 写真11枚 宇宙から見える巨大さ 2024年10月、南太平洋のソロモン諸島で活動していたナショナル ジオグラフィック協会の「原始の海(プリスティーン・シー)プロジェクト」の調査チームが世界最大の群体サンゴを発見した瞬間だった。 このメガサンゴは約10億個のポリプ(個体)からなる群体サンゴで、長径は34m、短径も32mあり、地球最大の動物であるシロナガスクジラよりも大きい。調査チームによると、これは記録があるものとしては最大の群体サンゴだという。宇宙からも見えるほどの大きさだが、長い間、人々の目から隠されていた。 調査チームの研究者たちも、このサンゴを見逃すところだった。主任研究員のモリー・ティマーズ氏は、「本当に偶然の発見でした」と言う。「別の海域に移動する前夜に見つかったのです」
最も高い木が見つかったような発見
「地上で最も高い木が見つかったような発見です」と、電子メールで「原始の海」プロジェクトの創設者であるエンリック・サラ氏は述べた。「海に対する畏敬の念と驚嘆の念を改めて呼び起こす発見です」 このサンゴは、コモンシコロサンゴ(Pavona clavus)と呼ばれるハードコーラル(硬い骨格をもつサンゴ)の1種だ。 全体の色合いは茶色で、ところどころに黄色、赤、ピンク、青の斑点がある。 群体サンゴは巨大な岩のように見えるが、サンゴはクラゲやイソギンチャクの仲間の動物だ。群体サンゴは、遺伝的に同一のポリプが何千個、何万個も集まって1つの生物として生活している。 ソロモン諸島沖は、驚くほど多様なサンゴが生息していることから「コーラル・トライアングル」と呼ばれる海域にある。
なぜこれまで見つからなかったのか
研究者たちは、砂に囲まれたこの巨大な群体は約10億個のポリプからなると推定している。 「これほど巨大なサンゴにこれまで誰も気づかなかったのは驚きです」と言うのは、英プリマス海洋研究所の生物海洋学者であるヘレン・フィンドレイ氏だ。氏は今回の調査には参加していない。 深さ13mの水中にある群体サンゴを確認するためにはスキューバダイビングやシュノーケリングの装備が必要であり、地元の人々は、ただの大きな岩だと考えていたのかもしれない。