「営業利益5兆円のトヨタ」と「前年比55%のエステー」…円安で明暗分かれる24年3月期決算──注目は日銀6月の金融政策決定会合
渡邊キャップ 「財務省で為替介入などを統括する神田財務官が、アメリカの経済指標が弱くなってくるタイミングまで織り込みながら介入に踏み切ったと、ある程度戦略的にやったんじゃないかという見方をする人もいます」
■6月の金融政策決定会合に注目 歴史的円安の中で日銀は…
城間記者 「来月もまた日銀の金融政策決定会合がありますけど、円安に何らかの対応を行うんでしょうか」 渡邊キャップ 「日銀はあくまで『物価の番人』といわれていますから、為替を直接コントロールするわけではない。これは植田総裁も折に触れて最近も言っています」 「あくまで結果論として、為替に作用すると考えられる政策手段は主に2つあります。1つは金利を上げる、利上げです。ただ、植田総裁は円安が今後の『基調的な物価上昇率』に与える影響を見極めるという姿勢を示しています。経済指標とか統計が出てから、データに基づいてやらなきゃいけないので、一定の時間がかかるというところはありますよね」 城間記者 「じゃあ円安が物価に影響しているからといってすぐに利上げするのは難しいということですか」
渡邊キャップ 「ただ、植田総裁はもう一つ別のことも言っているんです。それは、『物価上昇率2%目標の達成に向けた確度がさらに高まれば追加利上げを検討する』というような姿勢です。日銀はそもそも3月に『2%物価目標の達成が見通せる状況に至った』と言って、17年ぶりに利上げしました。なので、『今の日銀の見通し通りのペースで基調的な物価が上がっていけば、その途中で随時、状況に合った金利に上げていくよ』と言っているわけです。市場の予想では、一番早くて7月の決定会合で上げるんじゃないかという見方もそれなりにあります」 「もう1つの政策手法は、大規模金融緩和の一環として行っている国債の買い入れ額を減らしていくことです。いわゆる量的引き締め、QTなんて呼ばれるんですけれども」 城間記者 「今月中旬、日銀がデイリーの国債買い入れを減らしているっていうニュースがありましたよね」