人生120年時代へ 「シルバーディスコ」で高齢者を元気に
10月のある日、色とりどりのライトがきらめくフロアで、「恋のナイト・フィーバー」や「君の瞳に恋してる」など往年のディスコナンバーに合わせて楽しげに思い思いのステップを踏むのはシルバー世代の人たち。ダンスを通じて高齢者の健康寿命を延ばそうと、1980年代のディスコブームをリードしたDJが企画するイベント「シルバーディスコ」での一コマだ。 【写真まとめ】「シルバーディスコ」で高齢者を元気に 会場の中目黒GTプラザホール(東京都目黒区)に集まったのは50代後半~80代の中高年者約80人。中には2年前まで車椅子生活だったのに、シルバーディスコに出会って再び踊りたいと思い、今では立ってステップを踏めるまでになった人もいる。 プロディスコダンサーのレクチャーを受け、頭と体を使う本格的なステップに挑む参加者を軽やかな語り口で音楽とともに後押しするのは、80年代のディスコブームを盛り上げたディスコDJの第一人者でシルバーディスコの発起人のDJ OSSHYさん(59)だ。 シルバーディスコは、ある大学の看護学部の准教授が高齢者の健康増進にディスコダンスを取り入れられないかとDJ OSSHYさんに相談したことがきっかけで始まった。 最初のイベントは2017年、認知症専門のデイサービス施設で開いた。高齢の参加者のために、ディスコダンスの振り付けを「綱引きのポーズ」「糸巻きのポーズ」など呼び名を変え、椅子に座って上半身だけでもできるようにアレンジ。流す楽曲もディスコ音楽に加えて「銀座カンカン娘」や「東京ブギウギ」など高齢者に耳なじみのあるものを織り込んだところ、全員が普段かかないほどの汗をかいた。 大きな手応えを感じ、イベントを「シルバーディスコ」と名付け、高齢者施設を訪問するほか、今年春からは都内のホールで定例開催している。 シルバーディスコで触れ合ってきた高齢者には、100歳を超える人も多い。DJ OSSHYさんはそうした高齢者への敬意を込め、「人生120年時代」を掲げる。「100歳だからといろいろなことを諦めるのではなく、さらにその先へ希望を持って過ごしてほしい」と願う。【井出礼子】