【27年4月】迫る新リース会計基準、経理が「今から始めるべき」8つの準備
契約情報の収集パターン
・経理部門は契約書などを入手し、リース計算システムにデータ入力を行う ・経理部門はリース計算システムに必要な情報を収集するためのフォーマットを作って関係部署に入力してもらい、それに基づいてリース計算システムにデータ入力を行う ・各関係部署は、リース計算システムに直接アクセスして、契約書などからデータ入力を行う ・各関係部署は、契約管理システムに契約情報を入力し、経理部門は契約管理システムに入力された情報をダウンロードするなどして、リース計算システムにデータ入力を行う 5.注記などの開示事項を整理し、連結子会社から収集する連結パッケージを改修する 新リース会計基準では、会計処理だけでなく注記情報の開示についても定められており、従前よりも注記として開示すべき項目が増えました。そのため、各社に当てはめた場合、どのような注記情報の開示が必要なのか、洗い出しを行う必要があります。 その上で、オンバランス計上のために必要となる情報と、リースの注記情報の開示のために必要な情報を各子会社からも収集できるように、連結パッケージ(連結財務諸表を作成するために必要な情報を各子会社から収集するためのフォーマット)を改修する必要があります。 6.データ入力し、オンバランス額をトライアル集計する リースの判断マニュアルやリースの会計処理マニュアルが整備され、業務プロセスも構築し、連結パッケージの改修まで整うと、いよいよリース計算システムへデータの一斉入力が可能となります。 適用初年度の期首から、スムーズに新リース会計基準を適用していくためには、その前年度にそれまでのリース契約をリース計算システムなどに全て登録しておきましょう。トライアルで取得価額相当額や減価償却費相当額、リース負債を算定し、構築した業務プロセスや各種マニュアルに不備はないか確認し、改善しておくことが重要です。 7.決裁基準や稟議書フォーマットを見直す 借り手のリースがオンバランス処理となるということは、今後、リースに関する新たな契約は単なる支出を伴う契約締結ではなく、投資案件として位置付ける会社も出てくるものと考えられます。 特にリース期間など、判断が必要な項目をどのように設定するのかによってオンバランス額が大きく変わり、その影響はROAや自己資本比率にも及びます。稟議書にオンバランス処理の概算額を載せ、当該オンバランス概算額を踏まえて関係者が意思決定していくことになるでしょう。また、当該オンバランス処理の概算額によっては、決裁権限者自体が変わるという対応もあり得ます。 8.予算策定方法を見直し、投資家向け説明資料を準備する 予算策定においても、リースは単なる費用として予算を見積もるのではなく、投資案件として位置付けられ、減価償却費相当額や利息相当額として予算を策定していくことが求められます。 また、特に適用初年度は、貸借対照表や営業利益、経常利益、EBITDAなどのさまざまな財務数値について「以前から新リース会計基準を適用していたならば、前期や前々期はどのような数値であったのか」など、法定開示事項や投資家が理解しやすいIR情報の開示を行うため、事前に財務数値などの準備を行っておく必要があります。
まとめ
以上の通り、新リース会計基準の適用には、会計面での課題対応にとどまらず、実務上の課題にも対応する必要があります。特に業務プロセスの構築では、関係部署の協力が不可欠です。また、システム対応を行う場合には、その導入や既存システムの改変にかかる費用・時間のコストも考えなければなりません。 新リース会計基準の適用には一定の準備期間が設けられているものの、必ずしも時間的に余裕があるとは限らないことから、早めに基準適用の準備に着手することが重要です。 (矢崎 豊)
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