いじめや性加害など「悪事」が見過ごされる現実 群衆は悪事を止めるために何もしようとしない
これらすべての例において、悪事を働いたのは少数の人間でしたが、他の多くの人たちは、その悪事を止めるために何もしようとはしませんでした。 悪事の継続を許す唯一最大の要因は、腐ったリンゴとも称される個々の悪人よりも、善良な人々が立ち上がって正しい行いをしないことにあります。 マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(訳注:キング牧師のこと)は、1959年の演説で「この変革の時代における最大の悲劇は、悪人の執拗な暴言ではなく善人の沈黙であったことを、歴史は記録しなければならないだろう」と述べており、この傾向について指摘しています。
■なぜ行動を起こせないのか しかし、心強いニュースがあります。 私たちのような善良な人々が沈黙して何もしなくなる要因を理解することで、立ち上がって行動を起こすために必要なツールを提供することができます。 私たちは悪事に気づきつつも責任を感じることはなく、他人が代わりに何かをしてくれることを望んでいるのかもしれません。 あるいは、曖昧なできごとを悪事として解釈しにくい可能性があります。 介入することには身体的にも社会的にもコストがかかりすぎると考えているのかもしれません。
おそらく最も重要なポイントは、自分が所属する社会集団のメンバーに立ち向かうことで、個人的、職業的、社会的に生まれる結果を恐れることにあると思います。 しかし、あなたが何をすべきかを知っていれば、これらの力の一つひとつを克服することはできるのです。
キャサリン・A・サンダーソン :アマースト大学マンウェル・ファミリー生命科学(心理学)教授