人口数十人の小さな集落で月に50万円も売る「魚の自販機」。深夜も来客がある大ヒットの舞台裏は?どんな人たちが買っている?
ある日のこと、鹿児島の海沿いを運転していたら「海ぶどうと魚の自販機」の看板が目に飛び込んできた。縁遠く聞こえる「魚」と「自販機」の言葉の組み合わせが妙に気になり、車を停めて寄ってみた。その自動販売機は桜島を後ろに望む、とても景色のいい場所にあった。 【画像】「400円のヒラメ」「大盛り海ぶどうは800円」自販機と刺し身の様子を見る(12枚) ■人口50人に満たない小さな集落に「魚の自動販売機」 冷蔵と冷凍の2種類の自動販売機が設置してあり、購入できる商品は海ぶどう(800円)やヒラメ刺し身(400円)、ヒラメエンガワ(450円)、漬け丼の素(1000円)、ハマチの熟成ロイン(半身)1000円、ヒラメの骨チップス(250円)など、ラインナップはかなり豊富である。
しかも、海ぶどうもヒラメエンガワも、鹿児島のスーパーではほぼ売っていないレア食材だ。 自動販売機の横に氷が置かれているので、自宅まで時間がかかる人も持ち帰りに困らない。しかも、なんと24時間営業している。 【画像】「400円のヒラメ」「大盛り海ぶどうは800円」…自販機と刺し身の様子を見る(12枚) しかし、ここは市街地と市街地をつなぐ海沿いの国道で、車の往来は多いが、人家は極めて少ないエリア。鹿児 島県垂水市の深港集落で、約27戸、人口50人に満たない小さな集落である。人口の少ない場所で、これだけレアな食材が豊富なラインナップで売られているのがなんとも不思議だった。
一体なぜここに自動販売機を置いたのか、果たしてこの場所で儲かるのか、売れ筋商品は何なのか、24時間営業でどの時間帯の購入が多いのか、気になることをいろいろと運営者に尋ねてみた。 運営しているのは鹿児島県垂水市の森水産。迎えてくれたのは、1代目(写真右)森正彦さんと2代目(写真左)森正秋さん。親子が中心になって営む家族経営の小さな養殖場だという。 自販機を設置したのは2023年3月4日で、置いてから1年ちょっと過ぎた頃である。発案して運用している森正秋さんが質問に答えてくれた。