「まさかこのゴミを売るのか?」と社内で大反対…からの過去最高益!ハードオフ社長がいま明かす「ジャンク品」誕生秘話
いまかいまかと開店を待ちわびる100人超の行列――。ハードオフの新店舗オープン日に見られる、お馴染みの光景だ。開店の時刻を迎えると、ほとんどの客は脇目も降らず、とあるコーナーへ向かう。ある者にとっては“ガラクタ”に見えるが、ある者にとっては“宝の山”。ハードオフは、この場所を「ジャンクコーナー」と呼ぶ。 【写真】えっ、こんなガラクタがお宝に…!ハードオフのジャンク品を一挙大公開!
過去最高の売上300億に貢献する「ジャンク品」
中古品の買取・販売を事業のメインに据えるハードオフコーポレーションが絶好調だ。5月に発表した2024年3月期通期決算では、過去最高である301億円の売上高を記録。さらに営業利益、経常利益、純利益いずれも過去最高を更新した。特に、本業の儲けをしめす営業利益は前期比21.3%増の28億円と成長著しい。 そんな同社にとって、パソコン、オーディオ、カメラ、ゲーム、楽器などを扱うハードオフは、全国396店舗(2024年5月10日時点、フランチャイズ店含む)を展開する中核事業。中でも根強い人気を誇るのが、ジャンク品だ。 「実は、ハードオフ事業の売り上げの約20%を占めています」 こう明かすのは、ハードオフコーポレーション代表取締役社長の山本太郎氏。 「ハードオフに並ぶ通常の中古品には保証がついています。しかし、動作不良が確認されたり、古過ぎて正常な動作が保証できなかったりといったケースも中にはある。そういった保証がつけられない商品もジャンク品として、割安な価格で店頭に並べています」(以下、「」内は山本氏) 動くかどうか分からない商品を買って一体どうするのか。そんな疑問を抱く方も中にはいるかもしれない。 ジャンク品の使い方は自由だ。修理のためのパーツ取りに使ってもよし。一部の動作する機能だけ使ってもよし。かつての山本氏も、ジャンク品を柔軟に利用したひとりだ。 「幼い頃、カブトムシをたくさん飼っていたんです。もっと大きな水槽の中で飼いたくなって、父にお願いしたのですが『そんな贅沢なものは必要ない』と取り合ってくれませんでした。 後日、そんな父がハードオフのジャンクコーナーから持ってきたのが、巨大なスピーカーボックスでした。内部の電子部品だけ抜いて木の箱の状態にすると、『この中でカブトムシを育てろ! 』と言われまして(笑)。本当に、ジャンク品の使い方は様々なんですよね」