「目のやり場に困る」露出女子の散歩動画にひんしゅくの声…法的な問題は?
YouTubeなどで「 #ノーブラ散歩」とのタグで、女性がノーブラで街を散歩する動画が一部で人気を博しているようだ。それを切り抜いたショート動画などが他のSNSでも転載され、「目のやり場に困る」といった声もあがっている。 【画像】数百万回閲覧された動画も 動画を見ると、誰も見ていない路地裏を歩くものから、繁華街を歩くものまで幅広くあるようだ。中には、ノーブラが他者に見られていることを意識しながら撮影されたものもある。 視聴者からは、「わいせつなのでは?」と懸念するコメントもあがっていた。 このようにノーブラで散歩することに法的な問題はないのか。青柳剛史弁護士に聞いた。
●刑事責任を問われる可能性は?
――服は着ているようですが、この場合でも刑事責任を問われる可能性はあるのでしょうか。 検討すべき犯罪として、公然わいせつ罪、迷惑防止条例、軽犯罪法が考えられます。 公然わいせつ(刑法174条)がありますが、乳房を露出した場合であっても、必ずしもこの罪における「わいせつ」とはいえないというのが、学説としても多いようです。散歩だけでなく、性行為を想起させるような動作を伴うような場合には、公然わいせつ罪にあたり得るのではないかと思います。 また、迷惑防止条例における「卑わいな言動」にあたる可能性があると思います(条例ですので各地方によりますが、東京都の場合は、迷惑防止条例5条1項3号、8条1項2号。6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金)。 軽犯罪法における身体露出罪(軽犯罪法1条20号)も「身体の一部をみだりに露出した」という要件には、着衣の場合、ただちに該当するとは言えないと思います。
●「人目につく場所」だったら?
――同じノーブラ散歩でも、服の下に乳頭らしき突起が見える動画と、そうでない動画があるようですが、両者で刑事責任の有無に違いはあるでしょうか。 公然わいせつ罪との関係では、先ほど申し上げたとおり、乳房を露出した場合であってもわいせつにあたらない可能性があることから、乳頭らしき突起が見えていても刑事責任は問いづらいというのは変わらないのではないかと思います。 条例違反は問いやすくなるかもしれません。 軽犯罪法については、突起がどれくらいはっきり見えているかによって変わってくるかもしれませんが、基本的には先の検討と変わらないと思います。 ――ノーブラで散歩をする場所が、人目につく場所なのか、そうでないのかで違いはあるでしょうか。 公然わいせつ罪との関係では、人目に付きやすい場所であれば、公然性が認められやすいと思います。先にも述べたように性行為を想起させるような動作を伴うような場合には、性的な羞恥心を害するとして公然わいせつにあたり得るのではないかと思います。 ただし、「人目に付かない」というためには、室内とか、囲われた私有地などに限られると思いますので、「人通りが少ない」ぐらいでは、人目に付きやすいとされてしまう可能性はあります。 ――お店で撮影されたケースもあるようです。 その場合には、迷惑行為とされる可能性はありますから、店舗等から苦情が出たら、業務妨害などに問われるという可能性もあるかもしれません。正面を切って法的に問題がない、とは言い切れないと思います。