“きつくて儲からない”はもう古い!若者や大手企業が「儲かる農業」に続々参入 四半世紀後に4.5兆円→8兆円市場との試算も
■元JA職員が個人経営から法人化で大成功 売り上げはわずか3年で11倍の4.5億に
茨城県で長ネギ農家を経営する山﨑康浩氏(35)は、農業参入から3年で、4億円以上を売り上げる「新時代の豪農」だ。「1年目が4000万円、2年目が1億5000万円、今年植えたネギが順調に生育すれば、来期は4億5000万円」と大きく伸びる。 山﨑氏の戦略は「脱・個人農家」農業法人での勝負だ。これまでの農家は、家族単位で行う個人事業主が多かったが、現在「儲かる農家」のほとんどが法人化して、会社組織で農業を行っている。「一気に面積を拡大し、売り上げを一気に上げたかった。面積を拡大するには畑が必要だが、そのためには資金が必要。しかし借りに行っても、個人には貸せない」と言われ、会社にした。 銀行からの融資で畑を拡大し、スタート時は1カ所だった農地が、今では8倍の東京ドーム7個分まで広がった。面積にともない、売り上げも急増した。今後はさらなる設備投資を計画し、加工食品への進出も視野に入れている。「農業は可能性だらけで、まだまだ成長する業界だ」と期待は大きい。 法人化のメリットとしては、融資に加えて、社員育成もある。「今までの農家は『作業場が汚い』といったイメージがあったが、『ここは会社だ』とルールを定められる」。実は山﨑氏は元JA職員で、現在は「農協の長所を生産者側から持ち上げる」というスタンスで取り組んでいる。 前職を生かして、他の農家のサポートも行う。「年配の農家から『いまから高価な農機を買っても……』と、作業代行を依頼される。仕事として引き受ければ、それに対する助成金も出る」と、“副収入”もある。 農業コンサルタントの山下弘幸氏は、山﨑氏の取り組みを「前例のない成長スピードだ」と評する。「『現状維持』が美徳とされる農業で、『前年比アップ』を目指す人は珍しい。『選択と集中』でネギに特化して、個人ではなくチームを組んで、ビジネスとして市場を取りに行っている点も、普通の農家では考えられない」と目を丸くした。 山﨑氏の農業法人「BRAVE」は、現在23人の従業員を抱える。「野菜業界では、従業員×1000万円で上出来だ。本来であれば、23人の従業員で2億3000万円が合格点だが、その倍の4億5000万円を見込んでいる。今までの農業の常識からすると、群を抜いている」と高く評価した。