宮川花子「介護施設に入る」と大助に伝えようとしたことに猛省。「こんなに尽くしてくれているのに、肝心の私が逃げてどうする」
夫婦漫才コンビの宮川大助・花子さんは、2024年11月にコンビ結成から45年を迎えます。妻・花子さんは2019年、血液のがん「多発性骨髄腫」と診断され、現在も闘病中。夫・大助さんは、ご自身も腰の痛みを抱えながら、花子さんを懸命に支え続けています。そんな大助さんに対し、花子さんは「どれだけ深刻なときでも、あの人といると笑ってしまう」と語っていて――。今回は、お二人の闘病・介護の日々が綴られた著書『なにわ介護男子』から一部引用、再編集してお届けします。 【写真】宮川花子「血圧測定でもおしめ替えでも、どんなときもおもしろすぎる大助くんに助けられている」 * * * * * * * ◆私、もう介護施設に入るから いつも楽しく笑っているわけではないんですよ。 私たちもどこにでもいる普通の夫婦ですから、ちょっとしたことで二人の間がぎくしゃくすることもあるんです。 ある夜のことでした。 私の尿道にバルーンカテーテルを挿入したら、大助くんの一日の介護は終わり。ようやくほっとひと息つける時間になるんです。 でも、その日は私が続けざまに「白内障の目薬お願いしていい?」と言ったもんだから、うんざりしたんでしょうね。 いつになくいらついた口調で「ちょっと待ってくれるか? バルーンのあとに目薬さそうと思ったら、もう一回、手を洗ってきれいにせなあかんから」と不機嫌さを隠そうともしない口調で言うんです。 今は自分で目薬をさせていますが、その頃は大助くんに一日3回さしてもらっていたんです。 ああ、大助くん、しんどいんやな。 そら、そうや。大助くんだって腰が痛いのに、こんなに無理させて。 悪かったと思うと同時に、いたたまれない気持ちになりました。 「私、もう介護施設に入るな」 もう少しで、この言葉が口から出そうになりました。
◆この家から離れようとしている自分 94歳になった母も、ちょうど施設に入ったところでした。 姉が「お母さん、介護施設に入ったよ」と連絡してくれたので、「うん、ありがとう。それでええよ」と答えていたんです。 病気をするまでは私が母と同居していましたが、最近はずっと姉たちが大変な思いをしながら面倒を見てくれていましたから。 母は施設に入るのが一番いい。 じゃあ、私は? 私もそうしたほうがええんちゃうか? そしたら大助くんにこれ以上負担をかけることもないし、私も大助くんの疲れた顔を見なくてすむ。みんながラクになる。 今度ケアマネージャーさんが介護認定調査に来てくれたとき、施設を探してもらうようお願いしよう。 じっと天井を見つめながら、この家から離れようとしている自分がせつなくて悲しくて、心は重く沈んでいきました。 でも言葉にはせず、「ごめん」とだけ言ったんです。
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