名店仕込みのパスタに悶絶! 神楽坂で今一番勢いのある若手イタリアン
素揚げした赤茄子に蛤出汁を吸わせ、生クリームと共にパスタに和え、その上に小樽のバフンウニと穂紫蘇をデコレーションします。
何という複雑妙味なのでしょう。イタリアンとも和食とも言えない、しかしどこかで口にしたことのある味がいくつも重なり、今まで経験したことのない“おいしい”が口中を刺激するのです。
スペシャリテは手打ちのパスタ「トロフィエ」。このジェノベーゼソースはイタリアで働いていたレストランにいたジェノバ出身の料理人に教わったレシピに蛤出汁や蒸し鮑などオリジナリティをプラスしています。
アーリオオーリオベースに蛤出汁のうまみと香りが相まって、馴染みのあるジェノベーゼがハッとする驚きに満ちた皿になりました。
店名に表される魚介料理。本日はクエを炭火で休ませながら時間をかけてゆっくりと火入れします。「このクエは7kg超えなのでどのくらい寝かせるのが良いといった話はその魚のことを一番わかっている魚屋さんに聞いて、どういう料理にするか考えています」と石川さん。
そうしてイメージしたのは炭火焼きしたクエに甘鯛の骨やアラで取ったスープをかけ、クエと甘鯛を異なる調理法で上品なうまみを重ねた皿。スープを口にした瞬間、全身に衝撃が走ります。使っているのは食材と水、ほんの少しの塩だけと言われても、とても信じ難いほどふくよかな味わい。入っていないはずの甲殻類の風味を感じるのは「甘鯛が食べていたから」だそう。食材の魅力をシンプルに伝える、これぞ引き算の美学です。
十分に香りを出し、スープに浸していてもカリッとした食感が残るように皮目はしっかりと焼いています。それでいて身はふっくら。この絶妙な焼き加減に言葉を失います。「魚に水分があるからです。それができる魚屋さんだから信頼できる。毎日市場でいい魚を見て魚屋さんから元気をもらえます」と石川さん。丁寧な“仕事”からしか生まれない感動的な味わいです。
若い料理人の感性が炸裂する次世代レストラン
ドルチェを担当する石井 亮さんは「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」でスーシェフパティシエを務めた逸材。リストランテで提供する美しいドルチェはお手のもの。キャラメリゼしたアーモンドとクランブルクッキーとホワイトチョコレートを練り込んで作ったクルスティアンで土台を作り、その上にマスカルポーネクリームを塗り、花びらに見立てたフレッシュマンゴーとエディブルフラワーを飾れば「マンゴーブーケ」の完成です。