アルファロメオのアルファスッドはスバル1000がモデルだったのか? その真偽を考察する!『さいたまイタフラミーティング2023』で見つけた名車・旧車vol.1
アルファスッドがスバル1000を参考に作られたという説……その真偽は?
もうひとつアルファスッドの評価を微妙にしているのが、百瀬晋六氏が設計したスバル1000の設計を参考に作られたという説だ。実は世界的にはほとんど聞かれない噂なのだが、わが国ではアルファスッドが現役であった当時から、まことしやかに囁かれてきた。 たしかに、エンジンとトランスミッションを横一列に配置したジアコーサ式のFWDが等速ジョイントの信頼性の問題から普及する以前、1960年代中頃から1970年代中頃にかけては、水平対向4気筒エンジンを用いたFWDこそが「小型車の理想的な設計」とされた時期があった。低重心かつシンメトリカルなパワートレインを採用したFWD車は、不快な振動が少なく、走行安定性に優れ、ドライブシャフトを通すトンネルがないことで広い車内空間とトランクルームを実現しており、合理的な設計は車体の軽量化にも繋がることから、当時としては大変優れたパッケージングと言えた。 その嚆矢となったのが、1966年に発売さた日本のスバル1000だった。その4年遅れでシトロエンGSが、さらに5年遅れてアルファスッドが同様のメカニズムを提げて登場している。この3台のうちシトロエンGSは水平対向エンジンを採用してはいたが空冷であり、さらに言えば、2気筒ながら水平対向エンジンを搭載車したFWD車の2CVという存在がすでにあったことと、ハイドロ・サスペンションなどの独自メカニズムを持つことから類似性を指摘する声はほとんどない。 しかし、問題はアルファスッドのほうで、スバル1000の登場後に開発プロジェクトが始動したことと、それまで後輪駆動しか持たなかったアルファロメオがまったく系譜の異なる設計やメカニズムのクルマとして開発したこと、さらに両車の基本設計があまりにも酷似していたことが、「参考にした」との疑惑を招く結果となったのだろう。 当時の欧州ではFWDはまだまだマイナーな存在であり、ミニに代表される英国車の一部とシトロエンがFWDの存在感を示すに留まっていたに過ぎなかった。そうした状況にあって「コンベンショナルなFRレイアウトにこだわりを見せていたアルファロメオがなぜFWD車を?」という疑念を持つことは無理からぬことかもしれない。 そんなことからわが国のクルマ好きの間では「アルファスッドはスバル1000を参考に開発された」との都市伝説がまことしやかに囁かれるようになったのではないだろうか。
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