アルファロメオのアルファスッドはスバル1000がモデルだったのか? その真偽を考察する!『さいたまイタフラミーティング2023』で見つけた名車・旧車vol.1
アルファスッドの唯一にして最大の弱点……それは錆によるボディの腐食!
しかしながら、そんな商業的にも成功した傑作と評しておかしくはないクルマでありながら、今日の旧車イベントでその姿を見かけることは極めて稀だ。その理由は数々の美点を打ち消しにする唯一にして最大最悪の欠点をこのクルマが孕んでいたことに他ならない。 その欠点とはズバリ「錆」である。昔からイタリア車の鋼板はお世辞にも質が高いとは言えないが、アルファスッドの場合は、当時イタリアで相次いでいた労働争議により鋼鉄の生産が不足したことからソ連(ソビエト連邦、現・ロシア)製の質の低い車両鋼板を輸入して使用したことで輪をかけて酷いものになった。しかも、トリノ工場の労働意欲の低い工員と杜撰な生産体制(海に近い工場でありながら在庫の鋼板は野外に放置された)に加えボディの防錆処理も不充分で、ラインオフから数年も経たずしてアルファスッドの車体が錆に蝕まれたのだ。腐食に弱いとされるイタリア車の中でもアルファスッドのそれはまさしく“段違い”のレベルで、ボディが「錆びる」のではなく「溶ける」と言わしめたほどだった。 ミーティング会場で見かけた初期型のアルファスッドは、オーナー曰く「近年欧州から並行輸入した個体」とのことでボディのコンディションは抜群に良かったが(おそらくは以前のオーナーがレストアをしたか、何らかの防錆処理を施していたに違いない)、これは例外中の例外であると言える。ボディが激しく腐食し、車体強度が失われて安全性に問題が生じた個体から惜しげなくスクラップにされて行き、現在では五体満足な車両(とくに初期型)は本当に珍しくなっているのだ。 そんなクオリティではさしもの理想的な設計も美しいスタイリングもすべてが台無しになってしまう。本来なら歴史に残る名車となるハズだったアルファスッドは、現在では人々の記憶から半ば忘れ去られた存在となっており、ときには「レモンカー」と揶揄されるなど、その評価はあまり捗々しいものとは言えない。1980年に登場した後期型では錆の問題もある程度解決しているが、もう少し品質がまともなら……と思うと返す返す残念でならない。
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