[MOM4998]松山北MF森隼人(3年)_0-0で大役託された“唯一の3年生”「自信を持って」真ん中に蹴り込んだPK決勝弾
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ Sponsored by アディダス ジャパン] [12.31 選手権2回戦 松山北高 1-0 龍谷富山高 味フィ西] 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 優勢を保ちながらもなかなか決めきれずに0-0で迎えた後半32分、松山北高はFW大西然(2年=松山市立小野中)がファウルを受けてPKを獲得すると、キッカーに立ったのはチーム唯一の3年生、ボランチのMF森隼人(3年=愛媛U-15)だった。 ゆっくりとした助走からシュートを繰り出すと、ボールは横っ飛びを見せた相手GKの逆を突き、ど真ん中のコースへ。「相手GKも真ん中に残るという選択肢はたぶんなかったので、自信を持って真ん中に蹴り込んだ」(森)。後輩から託されたキックを成功させ、「1、2年生の思い、松山北のサッカーファミリーの思いを背負っていたので少しは緊張したけど、決めることができてよかった」と笑みを浮かべた。 松山北では今夏のインターハイ後、大学受験のために大半の3年生が引退。8年ぶりの出場となった今大会を1~2年生主体で戦っており、メンバー登録されている3年生は森だけだ。それでもチームは歴史的な快進撃を見せ、1回戦の東海大山形戦で史上初勝利(1962年の抽選勝利を除く)を収めると、2回戦では同校史上初の大会2連勝を果たした。 また近年苦戦が続いていた愛媛県勢にとって全国選手権での2連勝は、1989年度に全国優勝を果たした南宇和高の他、2011年度の済美高に続いて3校目の快挙。その躍進を唯一の3年生として支える森は「まずは1勝が目標だった中、もう一つ勝つことができたことで、3つ目の景色を見ることができて嬉しい」と素直な喜びを口にする。 もっともチームの後輩には同じ愛媛U-15出身の選手も多く、中学時代を地元で過ごした選手が大半なことから、気張ってチームを引っ張るような様子は見られない。森自身、「ジュニアユースから一緒にやってきたメンバーがたくさんいてやりやすい環境だったので特に3年生というものもなくやることができた」と夏以降の戦いを振り返る。 それでも森はチームが勝つために「練習中の声かけであったり、一部の選手と喋るのではなく、いろんな選手と喋ることを意識してやってきた」とチームマネジメントにもトライしてきた自負はある。その努力を乗り越えての選手権1勝に「ベスト16まで残れたのは信じられないし、嬉しい気持ちでいっぱい」と感慨深げだった。 森はすでに推薦入試で同志社大法学部への進学が決まっており、サッカーを続ける予定。ただ、「まずは勉強を頑張っていきたい」と両立を最優先に考えており、まずはこの大会を集大成に位置付ける。 「ここまで来たら勝っても負けても数試合しか戦えないので、集大成で全力を出したい。チームとしてもチャレンジャーとして来た中、2勝を挙げることができたけど、もう一つ勝てばベスト8の景色を見られるので、チャレンジ精神で全力で相手にぶつかっていきたい」。ここからは歴史を築く戦い。このままの勢いでぶつかっていく構えだ。