筑波大スタートアップが低高度実験、「火星飛行機」の全容
エアロフレックス(茨城県つくば市、堀井樹社長)は、開発中の火星探査飛行機について、低高度の飛行実験を2024年度内に始める。地上数十―数百メートルで滑空試験を行う。数年内には宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で高高度の飛行実験も始める見通し。同社は35年前後にロケットに搭載して火星へ打ち上げる目標を掲げており、火星上空からの地表面探査に貢献する。 火星飛行機の大きさは、全長300ミリ×全幅800ミリメートル程度。動力を持たずに上空から滑空する構想だ。低高度の飛行実験は飛行ロボット(ドローン)などで機体を運んで実施する。高高度実験は、火星の大気環境に近い高度数キロメートルで実験する考えだ。 実際の運用では火星着陸機が火星の大気圏に突入し、十分に減速してから格納した火星飛行機を放出。滑空しながら地表面を観測する。堀井社長は「火星の大気の環境は地球と大きく異なる。シミュレーションだけでなく、実機を使って、より実現可能性を高める」と意気込む。 現在はパソコンの模擬実験で飛行性能をシミュレーションしている。火星の大気密度や気圧は地球比で100分の1程度で、飛行機にとって揚力を得にくいが、火星の大気環境に応じて長時間・長距離飛行できる機体を設計する。主翼は機体の前後に配置するタンデム翼にするなど工夫を重ねる。 エアロフレックスは21年11月設立の筑波大学発スタートアップ。ドローンやロボット、農業機器を開発する。機器の開発を通じ、屋外設備の点検や観測、物資運搬で省人化と業務効率化を実現する。