絶大人気のアルファード&ヴェルファイアに輸入車で唯一対抗できるのが、これ! こんなに豪華で、しかもたくましい!!
ロングボディの全長はもうひとつのライバル、レクサスLMとほぼ同じ!
大型ラグジュアリー・ミニバンとして、日本市場で絶大なる人気を誇るアルファード&ヴェルファイアに、輸入車で唯一、対抗できるのがこのVクラス。今回の大規模変更により、その牙城を崩すだけの魅力を手に入れられたのだろうか。モータージャーナリストの高平高輝がリポートする。 【写真41枚】アルファード&ベルファイヤに飽きたらこれか?! ドイツ製豪華ミニバンならこの一択 マイチェン版Vクラスを詳細画像でじっくり見る ◆よりラグジュアリーに メルセデス・ベンツの中で最も「現場感」というか、「仕事人」の雰囲気を持つモデルがミニバンのVクラスである。 今回大規模なマイナーチェンジを受けて、よりラグジュアリーに生まれ変わった。 現行型Vクラスは2014年発売の通算3世代目だが、新しいVクラスにもこれまで通り標準ボディ(全長4895mm、ホイールベース3200mm)とロング、そしてエクストラロング(全長5370mm、ホイールベース3430mm)の3種類のボディが用意されているが、ここで紹介するのはホイールベース3200mmで全長5140mmのロング・ボディのエクスクルーシブ、しかも上級仕様のプラチナスイートである。 豪華な内装の3列シートのミニバンながら、上記のように長さの異なるボディが3種類用意されていることや、頑丈な後席シートをすべて取り外すことも可能な点が仕事第一を感じさせる。1998年の初代から現在までの国内累計販売台数およそ3万台というロングセラーであるのはその機能性が評価されているからだろう。 3種類のボディのうちの中間サイズとはいえ(ロングの全長はレクサスLMとほぼ同じ)、日本の道ではちょっと気圧されるぐらいの大きさだ。しかもフロント・グリルはさらに大型化され、その上エクスクルーシブは横桟グリルにスリーポインテッドスターのボンネット・マスコット付き。昨今ではコンパクトハッチからSUVに至るまで全部が全部「グリルスター」になったメルセデスの中で、今ではかえって貴重なスタイルだ。 ◆変わらぬ特長 プラチナスイートは室内もいわばファーストクラス仕様で、全席ナッパレザー・シートを備える上に、2列目には左右独立式で、ヒーター/ベンチレーション/リラクゼーション機能も盛り込まれたエクスクルーシブ・シートが標準装備される。 縦置きされるエンジンは従来通りの2リッター 4気筒ディーゼル・ターボ(163ps/3800~4400rpmと380Nm/1600~2400rpm)だが、実は2年前にほかのメルセデスと同じ最新型のOM654型に換装されている。 実はそれまで日本仕様Vクラスはひと世代前のOM651型2.2リッター直4ディーゼル・ターボを搭載していた。OM654型は排気量こそ2リッターに若干縮小されたが、オフセットクランクの採用やピストン材質変更などによって、徹底的なフリクション低減を図り、燃費や静粛性を向上させた最新仕様である。その際に変速機も7段から9段ATの9Gトロニックにアップグレードされている。 ロング・ボディの豪華仕様ということで車両重量は2530kgもあるが、その巨大な箱を過不足なく走らせるパワートレインの逞しさ、扱いやすさはさすがである。ディーゼルノイズも以前の2.2リッターディーゼルよりは明らかに小さく、走行中はほとんど意識することがない。 また新型では標準ボディ車以外の全車にエアマチック・サスペンションが採用された。積載状態によって荷重変化が大きいミニバンには車高調整機能も有効だが、これまでのちょっと商用車然とした突き上げも減っている。もちろん俊敏とは言えないけれど、山道を走っても頼りなさをまったく感じさせない安定感と逞しさがやはりVクラスの変わらぬ特長である。 文=高平高輝 写真=望月浩彦 (ENGINE2025年2・3月号)
ENGINE編集部