絶滅種サーベルタイガーDNA分析に初成功 氷河期化石からクローンは可能?
太古DNA研究最前線
しかし化石における太古DNAの研究はここ最近、日の出を待つように勢いを増している印象を私は受ける。 オランダ人のペイジュマンズ博士は、現在、ドイツのポツダム大学でポスドクとして研究に励んでいる若い研究者だ。(博士号は1年前に同大学で終えたばかりとのこと。)古生物学者は伝統的に地質学の分野か、動植物学、または生態学などを含む「生物学」の分野で経験を積んだ研究者でほとんど占められている。(少なくとも私が生徒だった2010年頃まではこの傾向が見られた。)しかし、近い将来、遺伝学の分野から古生物学者を目指す方も増えてくるのではないだろうか? 様々な分野の研究者が、新しいアイデアや手法を手に化石研究に参入・挑戦することが、今後も増えてくるのだろう。更なるエキサイティングな化石研究の数々は、今から非常に楽しみだ。 ちなみにペイジュマンズ博士は遺伝子学の分野で学位を取得したが、はっきりサーベルタイガーのような「太古の生物のDNA」に興味があるということだ。そのためれっきとした古生物学者に一人といえるだろう。 さてペイジュマンズ博士に太古DNA研究における「一番の難点・チャレンジを要する点」は何か聞いてみた。 「研究費」という至極シンプルな答えが返ってきた。太古DNAをラボで抽出し解析する費用。化石標本を求めて世界各地を旅して回る必要もある。しかしサーベルタイガーなどにおける太古DNAの研究は、かなり夢のある研究プロジェクトのように私には映る。今後の研究の成果に期待「大」だ。 筆者ノート:今回の記事を書くにあたり、ペイジュマンズ博士はいろいろ私の質問に非常に丁寧に答えてもらった。この記事に使っている写真も直接分けていただいた。この場をかりて深く謝辞を述べておきたい ── Bedankt!