ブランドを主張しないSUN℃OREのスニーカーがファッションフリークの視線を釘づけにする理由
街ゆく人のスニーカーを眺めてみると、そのほとんどが、アッパーのロゴやサイドパネルのデザインによって、どのブランドのものかひと目でわかるようになっている。 そんなスニーカーシーンにおいて、異彩を放つのが「SUN℃ORE(サンコア)」である。 アッパーにはロゴもなければ、特徴的なディテールもカラーリングも見当たらない。ブランドを特定する手段は、インソールに刻印されたロゴくらい。ぱっと見では、どのブランドのものなのかがわからないのだ。 にもかかわらず、ブランドとして着実に知名度を高め、人気モデルは品薄が続いている。ファッション雑誌でも特集が組まれ、スタイリストやショップのプレス、ヘアメイクといったファッション業界人のファンも多い。 ストイックなまでに主張しないブランド。今回は神秘のベールに包まれたSUN℃OREのものづくりに迫ろう。
スタイリッシュな顔つきに秘められた機能性ディテールの数々
今回、お話をうかがったのは、SUN℃OREを取り扱う株式会社マルミの後藤さんだ。 「SUN℃OREをスタートしたのは2019年です。マルミのデザインチームがデザインを担当し、生産は東京にある工場が行っています。 高い技術を持つ日本の靴職人が、素材も製法も妥協せずにスニーカーを作ったら、どんなものができるのか? そんな疑問がものづくりの原点です」
それでは実物を見ていこう。フォーカスするのは、毎シーズン一番の人気を誇るブランドの代表作「night camp light」だ。
「デザインは、ローテクでもない、かといってハイテクでもない、絶妙なバランスを心がけています。カラーリングに関しても、ビビッドカラーは使用せず、モノトーンカラーやアースカラーのワントーンで統一しています」 ブランドを示すロゴやサイドパネルは使用しない。ただその分、さまざまな形状の異素材パーツを複雑に組み合わせることで存在感を強めている。合成皮革ではなく、本革が使われているためか、通常のスニーカーとはひと味違う高級感も漂う。 「SUN℃OREのスニーカーは単なるファッションシューズではなく、快適に歩くためのギア。それぞれのディテールには機能的な役割が付与されています」