幸せホルモン「セロトニン」&愛情ホルモン「オキシトシン」を増やして、更年期のメンタル不調を軽くしよう【40代・50代、知れば知るほどおもしろい!ホルモンの世界③】
更年期には体の不調だけでなく、イライラや落ち込みなどのメンタル不調が起きやすくなる。そんな不調を改善するコツが、ホルモンを味方につけること。メンタルに働きかける大事なホルモンが「セロトニン」と「オキシトシン」だ。このふたつのホルモンの働きと、自分でうまくコントロールする方法を、内科医の工藤孝文さんに伺った。
精神を安定させ、高ぶった気持ちを鎮めてくれるのが「セロトニン」
更年期には女性ホルモンの急激な減少による自律神経のバランスの乱れから、イライラや落ち込み、うつっぽさなどメンタルの不調が起きやすくなる。こんな状態を改善するために知っておきたいのが、「セロトニン」と「オキシトシン」というふたつのホルモン。これらは、最近テレビなどのメディアでもよく取り上げられるようになってきたため、耳にしたことがある人は多いかもしれないないが、どんなものなのか改めて工藤先生に伺った。 「まず、セロトニンのほうは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、精神の安定に深くかかわっているため、“幸せホルモン”とも呼ばれています。嫌なことがあってカーっとしても、しばらくすると高ぶっていた感情が鎮まって心が落ち着いてくるものですが、このように精神を安定させて落ち着かせるのがセロトニンの働きです。 興奮状態や戦闘モードのときには、ノルアドレナリンやドーパミンなどのホルモンが働きますが、その働きにブレーキをかけ、中毒的または攻撃性が高い精神状態になるのを抑えるのがセロトニンで、“理性のホルモン”ともいえます。 セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質ですが、体内のセロトニンの90%は消化管(腸)に存在しています。そして精神面だけでなく、睡眠や食欲、痛みの軽減、姿勢の維持、腸の働きの調整など体のさまざまな機能にもかかわっています。これらの働きから、セロトニンが不足すると、やる気が出ない、キレやすい、落ち込みやすい、朝起きられない、依存症になりやすい、食欲がコントロールできないなどの症状が現れます」 <セロトニンのおもな働き> ・精神を安定させ、心のバランスを整える ・ドーパミンやノルアドレナリンを抑える ・体内時計をリセットする ・正しい姿勢を維持する ・腸内環境を整える ・過食を防ぐ