『メタファー:リファンタジオ』想像から現実を顧みる―トマス・モアのユートピアは現代にあり?【ゲームで英語漬け#146】
そうしたイングランドに対する批判の後、ヒスロディが航海で辿り着いたという「ユートピア」の地理や歴史、社会制度を描写します。ユートピアは私有財産を廃止し、共同体の繁栄を第一とした共産主義、社会主義的な制度になっています。そのベースにはプラトンの思想や南米の共同体国家の影響が見られます。所々は現代の私達にも通じるところがあって、16世紀から観た私達の暮らしはある意味「未来の理想郷」と言えるでしょう。
but they, dividing the day and night into twenty-four hours, appoint six of these for work, three of which are before dinner and three after; they then sup, and at eight o□clock, counting from noon, go to bed and sleep eight hours: the rest of their time, besides that taken up in work, eating, and sleeping, is left to every man□s discretion;
「彼らは一日を24時間に分け、そのうち6時間を労働に充てる。3時間は昼食前、3時間は昼食後、その後で軽い夕食を採り、午後8時に就寝して8時間眠る。残りの時間は働くにしろ、食べるしろ、眠るにしろ、それぞれの自由に任されている。」 (□Dinner□は肉などしっかりした食事を指し、時間は問わない)
現行の王政や特権階級が牛耳る社会に対する不満や疑義が増えていく一方、古代ギリシャ・ローマの再評価であるルネサンス、新大陸発見による南米の文化など、西欧とは異なる政治体制が注目を集めていました。人文主義者のエラスムスはモアと親しくしていて、権力を風刺した「痴愚神礼讃」はモアの自宅で執筆。「ユートピア」はそれに触発されて書き始めたとも言われています。
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