『メタファー:リファンタジオ』想像から現実を顧みる―トマス・モアのユートピアは現代にあり?【ゲームで英語漬け#146】
『ペルソナ』シリーズでは「ベルベットルーム」でペルソナの力を管理していましたが、『メタファー:リファンタジオ』ではどこかに幽閉されている「モア」という人物からアーキタイプの力を授かります。モアは主人公が常に持っている本を書いた当人で、そこに描写される「理想の国」は現代の地球を思わせるイメージです。 【画像全4枚】
この「モア」のモチーフになっているのが「ユートピア」を描いたイギリスのトマス・モア(1478~1535)です。法曹として優れていた彼はカトリック教徒なのですが、ヘンリー8世の離婚問題に端を発する英国国教会を批判したために、反逆罪でロンドン塔に幽閉、処刑されてしまいます。
ユートピアが書かれたのはその約20年前、欧州諸国を巻き込んだイタリアのカンブレー同盟戦争の最中でした。ヘンリー8世は政治的に邪魔な人間を反逆罪で処刑することが多くあり、王の強権によって国内は疲弊し、さらに特権階級による富の独占と格差拡大が起きていました。「ユートピア」でもよく引用されるのが、「羊が人を喰っている」とよく言われる以下の文章です。
□The increase of pasture,□ said I, □by which your sheep, which are naturally mild, and easily kept in order, may be said now to devour men and unpeople, not only villages, but towns;
「牧草地の増加によって、本来おとなしく飼いやすい羊が、村のみならず街も、そして人さえも食い荒らし、人口を減らしているという」
これは当時行われていた「第一次囲い込み」の状況を指し、利益率の高い羊毛生産をするため、借地にしていた小作人の農地や住宅を強引に取り壊し、住民を追い出していたことを表します。地主の利益追求のために多くの人が仕事も家も奪われてしまう、そうした理不尽が横行していました。
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