富山産木製バットで活躍を センバツ出場校に日体大OB会が寄贈
18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)に出場するチームの指導者を激励するため、日本体育大野球部OB会(事務局・横浜市)が富山県で生産される木製バットをプレゼントした。富山はプロ野球選手が使うオーダーメード品なども生産する国内最大級の木製バット産地。地元の高岡商監督として甲子園出場経験がある伊東与二・OB会長(68)が、富山の隠れた逸品を全国の野球関係者にアピールしようと発案し、7年前から毎年贈っている。 【過去には小芝風花さんも】センバツ応援イメージキャラクター 今年のセンバツ出場校のうち、木更津総合(千葉)の青山茂雄部長▽大阪桐蔭(大阪)の橋本翔太郎コーチ▽有田工(佐賀)の梅崎信司監督▽大分舞鶴(大分)の河室聖司監督▽市立和歌山(和歌山)の岩本悠部長――が日体大の出身だ。 OB会が寄贈するのは木製のノック用バット。材質は高級なカナダ産メープル(カエデ)。ヘッド部分に日体大カラーのブルーに大学の校章、グリップ部分にも校名と名字がプリントされる。OB会の依頼で、プロ野球選手のバットも手がける河合バット製作所(南砺市法林寺)が毎年製作している。 毎年春と夏の甲子園大会前にOB会が激励会を開いて手渡しするのが恒例だったが、近年はコロナ禍で開催できず、今回も伊東会長直筆の激励文を同封して10日に各校へ発送した。 富山県西部の旧福光町(現・南砺市)は昔から高い木工技術で知られ、バット生産は大正時代末期から続く。最盛期の昭和30年代には国内シェアの7割以上を占めた。金属バット導入などの影響で需要は減ったが、現在でもバット工場5社で年間約20万本を生産する。 伊東会長は日体大卒業後、富山県立高校教諭などを務めた。1979年から15年間、高岡商野球部を率いて甲子園に春夏計6回出場した。 野球界の名門・日体大は毎年、甲子園に出場する指導者を多数輩出。2015年にOB会長に就任すると、伊東会長は「甲子園に出場しても脚光を浴びる機会が少ない指導者を激励したい」との思いからノックバットのプレゼントを思いついた。県内でも知る人ぞ知る、隠れた特産品をアピールできるとの狙いもあった。 高校野球といえば金属バットが思い浮かぶが、木製バットの使用が禁止されているわけではない。U18(18歳以下)の世界大会では木製バットを使用するため金属バットと木製バットを併用して練習する高校もあり、プレゼントは大好評だ。 さらにプロ、社会人、大学で野球を続ける選手にとっては高校から木製バットに慣れておくことも大切だという。伊東さんは自らの経験から「指導者でも激励を受ければ頑張れる。ぜひこのバットで練習し、(甲子園)本番で、そして世界で活躍を」と激励する。 河合バット製作所の河合彦光社長(61)も「晴れ舞台で精いっぱいのパフォーマンスを披露すると同時に、ぜひ次のステージでも野球を続け、木製バットでも活躍して」とエールを送った。【青山郁子】