大人になった息子と母親の適切な距離感とは?
人生で最初に接する女性であろう「母親」ーー大人になった息子は、母親との絆をどのように定義すればよいのだろう? ポスト「#MeToo」の時代、大人になった息子と母親との関係を定義することは、互いが自分の居場所を見つけるためのバランスゲームのようなものだ。息子と母親との関係について、フランスの「マダム・フィガロ」がさまざまな人にインタビューした。 2024年2月までパリのアートセンター、ル・バルで開催されていた展覧会「À partir d'elle. Des artistes et leur mère(母からの旅立ち。アーティストたちとその母親)」。作家エルヴェ・ギベールの文章、映画監督ピエール・パオロ・パゾリーニの詩、エッセイスト、ポール・グレアムの写真、アーティスト、アンリ・サラの映像、ボディアートで有名なミシェル・ジュルニアックが母親に扮(ふん)し、母を抱きしめる写真など、1960年代から現代までの約20名のアーティストたちの作品を紹介した。 母親を共通のテーマとしたこれらの作品は、哲学者ロラン・バルトの言葉のもとに集められた。もともと私事についてあまり語らなかったバルトだが、母の死の翌年の1978年、「母親に関する本を書かない限り、私はずっと辛いだろう」と綴っている(『ロラン・バルト 喪の日記』(2009年に死後出版))。そして1979年の春、母を喪失した悲しみを直接的に語った『明るい部屋: 写真についての覚書』を執筆した。この著書をきっかけに、知識人たちは母親について語るようになった。 母親との絆について、ロマン・ガリは、フランス文学で最も有名な一節を書いた:「母親の愛により、人生は夜明けに決して守られることのない約束をする」(『夜明けの約束』、1960年)。 成人した息子にとってさえ、母親は依然として疑問の対象のようだ。今回の展覧会のキュレーター、ジュリー・エローは「私たちがよく知っていると思っている母親はいまだに謎。意識的、意図的な解明を必要とするイメージではないでしょうか?」と問いかける。母親の物語は、歴史の中でどのように受け継がれているのだろうか? 我々は本当に母親を理解しているのだろうか? そして、母と息子の関係が良い場合にのみ、彼女を理解することができるのだろうか?