血圧を下げて記憶力を上げる優秀な食材があるって知っていた?ビーツを粉末状にした「ビーツパウダー」の驚くべき健康効果
筋肉の回復を促す
スポーツ医学誌『Sports Health』に掲載されたレビュー論文によれば、ビーツのサプリメントを数日間摂取すると、運動後の筋肉痛の治りが早まる可能性がある。一説によると、一酸化窒素が筋肉の炎症を軽減し、再生を促進するそう。
記憶力を向上させる
栄養学専門誌『European Journal of Nutrition』に掲載された最近の研究では、参加者が記憶力テストを受ける90分前に噛めるタイプのビーツパウダータブレット3gを摂取したところ、プラセボを摂取したあとに比べて短期記憶テストのスコアが21%アップした。研究チームによると、このケースでは、ビーツによる一酸化窒素の増加が脳の血流を増加させ、一時的に脳の働きを高めた可能性がある。 この通り、ビーツの健康効果に期待できるのは事実だけれど、期待しすぎるのはまだ早い。ブラント博士によると、これまでに行われたビーツのサプリメントに関する研究は被験者が概して少なく(前述の研究ではわずか5~80名)、治験のような厳密さも欠いている(治験の第3ステージである第III相試験では被験者が少なくとも1000名はいる)。 よって、現在の研究結果を一般化して、そこで証明されたサプリメントの効果が全人口あるいは人口の大半に当てはまると言い切るのは難しい状況だ。 また、ビーツのサプリメントを摂取していれば、心臓が病気知らずでいられると思ってはいけない。いまのところ、心臓や他の部位に対するビーツパウダーの効果が時間と共に蓄積するというエビデンスは存在しない。 質の高い長期的な研究が行われない限り、物事の長期的な効果を証明することは不可能。また、ビーツの有効成分は特許を取得できないため、「この業界に大規模な治験を行わせるだけの経済的インセンティブがほとんどない状況です」とブラント博士は付け加える。