ニュルブルクリンク24時間レース予選初日 スバル/STIチームはクラストップ・総合44位
ニュルブルクリンク24時間レースは現地時間30日13:00より最初の走行セッションとなる予選1回目が行なわれた。スバル/STIチームの様子をレポートしよう。ニュルブルクリンク24時間レースは現地時間30日13:00より最初の走行セッションとなる予選1回目が行なわれた。スバル/STIチームのトップバッターは、ニュル24時間レース初参戦の久保凜太郎選手だ。朝いちばんのチームテントで行なわれた決起集会の挨拶では 「なんだかわからないけど、こみ上げてきちゃいました。あやうく泣くところでした。あぶないあぶない」と苦笑いしていた久保選手。 緊張も相当のようで「もう、吐きそうです。去年、最初にニュルのパーミットを取りにきたときが土砂降りだったのでニュルのウェットは経験してはいますが、でもやっぱり雨はちょっと……」とウェットに対する不安を語るとともに、辰己総監督の勇退となるレースに向けた責任感も強く感じているようだ。 「辰己さんの最後のニュルで最初に走るドライバーが僕。その最初の走行をニュル24時間レースが初めての僕が担当するというのは相当なプレッシャーなんですが、そこに何かの意味があると信じて頑張ろうと思っています。今、ここにいることができるのは当たり前じゃないし、去年いろいろ自分で動いていたなかで助けていただいた人や背中を押してくれた人がいる。自分のできる仕事を確実にすべてこなしていければなと思ってます」と語る久保選手。 その目は、リングに向かう前のボクサーのようなだった。 いよいよ13:00にコースオープン。続々とマシンがコースに飛び出していくなか、予定どおり久保凛太郎選手のドライブでスバルWRX S4はコースイン。 まずはグランプリコースでブレーキの焼き入れ(ブレーキ性能を最大限発揮するために一時的にブレーキを高温に上げる作業)を行った後、セッション開始約20分後、グリーンヘルへと旅立っていった。 モニターには早くもコース各所でクラッシュしたマシン情報が飛び交うなか、久保選手は1周目を9分14秒838、2周目を9分11秒460で走り切り、まずは無事にピットにたどりついた。 「いやぁ怖かった。。。グランプリコース周辺はドライだけど、ところどころ濡れているところがあって、2周目はクラッシュのマシンのための速度制限が何カ所かありました。僕も一度スピンしかけてヒヤッとした場面がありましたが、肝を冷やしたけど……まずは無事に戻ってこれてよかったです。いま、すごくハッピーです」と安堵の表情。大仕事をやってのけた。 その後、バトンを渡されたティム・シュリック選手はマシンのフィーリングに多少悩まされながらも自身の計測2周目に9分00秒011をマークすると3番手カルロ・バンダム選手にスイッチ。このころから雨粒が大きくなり、スリックタイヤを履いたカルロ選手は、2016年の雹が降るなかクラッシュ車両を巧みに交わして難を逃れた『カルロの神回避』を彷彿とさせる走りで無事にマシンをピットに届けることに成功した。 4番手佐々木孝太選手はウェットタイヤに履き替えての走行となったが、全エリアでヘビーウェットとなったため、ウェット走行のフィーリング確認を行うにとどまった。ただ、唯一計測を行なわなかったため予選としての課題はQF2に持ち越しとなった。 最終的にQF1はスバル/STIチームは総合40位、SP4TクラストップでQF1のセッションを終了した。 QF1後に急遽エンジンを交換 QF1走行後、メカニックがマシンの各所をチェックしたところ、オイルキャッチタンクのブローバイ(エンジンの各所から漏れた燃焼ガスが液化したもの)の量が想定より多かったことがわかり、念のためエンジン交換を実施した。作業は滞りなく完了し、21:30過ぎにQF2の走行を開始。まずは佐々木孝太がラップを重ね、これで参加ドライバー全員がタイム計測を完了。自動的に予選完了となった。 また、他の3選手も夜間走行の確認を実施することができ、結果的に順調に2回の予選メニューを消化できた模様だ。 現地時間31日13:30よりQF3が行なわれ、予選上位のマシンが17:30からのトップクオリファイに出場する。これにより、全スターティンググリッドが決定する。 (PHOTO&TEXT:渡辺文緒)
渡辺 文緒