糖尿病は「一生治らない」の? 1型糖尿病歴30年の専門医が語る「一生涯続く治療」の目的
治療の目的は「健康な人と同じような人生を送ること」
糖尿病を発症した人の中には、「この先の人生、糖尿病とどう付き合っていけばいいのか…」と悩んでいる人もきっと多いことでしょう。 糖尿病は軽度であれば症状が出ないことが多いのですが、知らないうちに、着実に全身の血管の動脈硬化は進みます。また、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる合併症、網膜症や神経障害、腎症など生活の質を落とす合併症が起きてきます。糖尿病の治療の目的は、これらの合併症を起こすことなく、「健康な人と同じような人生を送ること」です。 2型糖尿病の初期であれば、食事療法や運動療法を頑張れば、確実に数値は改善します。逆に、症状がないからと放置する期間が数年にわたると、食事や運動をどれだけ頑張っても血糖値は改善しにくくなり、薬も効きにくくなります。そうなる前に、なるべく早い段階で血糖値を改善する生活習慣を意識しましょう。 また、糖尿病専門医に「薬を始めた方がいい」と言われたら、薬が効きにくくなる前に早めに受け入れて、数値を改善することをおすすめします。今は昔と違って、心臓や膵臓、腎臓を守る効果のある糖尿病の薬がたくさんあります。 糖尿病の治療は一生です。受験や就職、結婚、妊娠、出産、単身赴任、夜勤、定年、老年期…それぞれの時期で、血糖値も大きく変動します。その変化を気軽に相談でき、よりよい治療を選択していける主治医を見つけて、糖尿病があっても健康な人と変わらない人生を目指していきましょう。
オトナンサー編集部