「中国の古典」と「日本の古典」のなかで、「神聖な立場」を与えられた「意外な動物」をご存知ですか?
若菜摘む乙女
荇菜を採る乙女は神に捧げる植物を採取する神の乙女、巫女たちです。若菜摘む乙女といえば『万葉集』巻頭の雄略天皇の歌を思い出す人も多いでしょう。 籠もよ み籠持ち ふくしもよ みふくし持ち この岡に 菜摘ます児 家告らせ 名告らさね そらみつ 大和の国は 押しなべて 我こそ居れ しきなべて 我こそいませ 我こそば 告らめ家をも名をも 春の岡で若菜を摘む乙女たちも神に捧げる若菜を摘んでいると言われています。日本でも、赤塚のいうように歌謡は祭礼の中で育まれていったのかもしれません。そして中国最古の詩集である『詩経』の巻頭歌である「関雎」と、日本最古の歌集である『万葉集』の巻頭歌が、ともに春の若菜摘みの祭礼歌というのが面白いですね。
安田 登(能楽師)