NTT西日本・徳丸 4番で甲子園Vのスラッガーが雪辱期す今季「毎日成長する意識でやっていきます」
このままでは終われない。NTT西日本・徳丸天晴内野手(21)は、雌伏の時を経て、入社4年目となる今季へ向かう。 「昨年は悔しい1年でした。技術不足があって、春先から思うように結果を出すことができませんでした。今年は自分の中で勢いづくようなスタートダッシュを切りたい。今は長打力も大切ですが、いかに確率を高められるかに重点を置いています」 昨季は分厚い壁にぶち当たった1年だった。名門・智弁和歌山では1年夏から4番。3年夏には4番として4試合で6打点を挙げ、全国制覇へと導いた。22年に入社したNTT西日本でも1年目から起用され、同年の日本選手権では楽天からドラフト2位指名されていた鷺宮製作所・小孫竜二から代打で左前打。2年目だった昨季も都市対抗1回戦・三菱重工East戦で「7番・三塁」として先発起用され、3打数1安打だった。プロ解禁年となる3年目へ向け順調な歩みを見せていたが、シーズン開幕から快音は響かず。都市対抗、日本選手権ともベンチ入りを果たすことはできなかった。 将来を嘱望されてきた右のスラッガーにとって、従来は味わうことのなかった日々。だが、徳丸はうつむくことなく、常に前向きであり続けた。 「自分を成長させてくれるものになる、と。そこはずっと意識していました。今年もとにかく毎日成長するんだという意識でやっていきます」 黙々とバットを振り続けた中で、つかんだものがあった。昨年の10月。不調時は投手側にバットのヘッドを傾けるようなフォームを試したこともあったが、「無駄な力を抜いて自然に構える」ことを念頭にスイングを繰り返すようになった。すると、徐々に打球の質が変わっていき、スピンのきいた打球が生まれるようになっていく。10月28日に行われた三菱重工Eastとのオープン戦。2点を追う9回無死二、三塁から代打で登場すると、外寄りの直球をとらえ右中間最深部への中犠飛を放った。 「犠牲フライではありましたが、前までだったらファウルになっていた感じの投球でした。練習通りに振ったら、打球が上がってくれて。構えがパチッと決まれば、自然と良いスイングができるようになるんだと。この感覚を継続していきたいと思います」 昨夏の都市対抗ではベスト8に進出。悲願の日本一に向けチームが着実に前進している中、河本泰浩監督は「徳丸は濃い3年間を過ごしてきた。昨年は苦労した分、今季にかける思いは非常に強い。右の強打者は貴重な存在ですし、中軸に座ってくれることになれば打線も組みやすくなります」と今季の躍進を願う。指揮官の構想通り、徳丸が中軸に収まれば打線が格段に厚みを増すのは明白だ。徳丸は言う。 「立場も考えて、しっかり結果を積み重ねていけば、レギュラーも見えてきます。プロに絶対行きたい思いもありますが、先を見ることなく、目の前のことを一つずつ大事にやっていきます」 足元を見つめる落ち着いた語り口からは、人間的な成長を感じさせた。その姿こそ、4年目を迎える上で新たな強みとなるに違いない。