J1残留へ風向き変えた“見えない力” 降格圏脱出へ…追い風になる「アドバンテージ」【コラム】
「神戸があっての次」…ホーム3連戦に良い形でつなげられるか
神戸は過密日程と言っても、京都戦は前線の主力である大迫勇也と武藤嘉紀が後半13分から出場するなど、吉田孝行監督もうまく負荷を分散させながら、磐田戦にチームの体力を残している。それでも守備の要であるマテウス・トゥーレルや左右サイドバックの初瀬亮と酒井高徳など、主力の半数はフル出場している。神戸としては前半のうちにリードを奪って、メンバー交代を活用しながら、得意のクロージングに持ち込みたいはず。磐田としては、その土壌に乗ることなく後半勝負に持ち込むのが基本的な勝利のプランとなるだろう。 磐田はボランチのレオ・ゴメスが出場停止となり、中盤のスタメンがどういう組み合わせになるのかは1つの注目点だが、外国人枠の関係でベンチ外になることが多いMFブルーノ・ジョゼをベンチ入りさせることができることは後半のベンチパワーを高める意味で、大きなメリットだ。またC大阪から期限付き移籍しているFW渡邉りょうも前節は試合に出られなかったため、横内監督は「試合には飢えてると思います。それをうまくピッチで出してほしい」と期待を寄せる。 間違いなくタフなゲームになるアウェーの神戸戦を終えれば、磐田はホーム3連戦で逆転残留に希望をつなぐことはできる。しかし、今一番危ないのはホーム3連戦を拠りどころとすること。そこは一旦忘れて、まずは何としても神戸から勝ち点、願わくば勝ち点3を持ち帰ること。山田キャプテンも「神戸があっての次だと思うので。5戦と言いながらも、本当に一戦必勝というのが僕らに課されてると思う。すべてを懸けて、勝ち点3を持って帰りたい」と強調する。 そうした意識を監督スタッフや選手だけでなく“ジュビロファミリー”として持って、神戸に挑むことができるか。開幕戦はホームで完敗した相手でもあるだけに、アウェーで成長の真価が問われる。 [著者プロフィール] 河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。
河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji