故郷の色鮮やかな草花、生まれ変わらせる 京都・南丹にUターンした女性が生み出す逸品
草花あふれる京都府南丹市美山町のあぜ道を日々歩く。目にとまった植物に想像力を働かせ、しおりや万華鏡、アクセサリーなど多彩なクラフト作品に生まれ変わらせる。太田真友子さんは、「草の原空想舎」として土産品の販売や親子向けワークショップを昨年スタート。一度都会に出てこそ気付いた故郷の美しさを発信している。 美山で育ち、大学進学を機に離れた。千葉県で暮らしていたが、都会での子育ては気ぜわしかった。「日常から息子に自然と触れ合ってほしい」と、小学校入学に合わせて2021年にUターンした。 約20年ぶりの田舎暮らし。「身近な景色がこんなにきれいだったのか」と驚かされている。 足元をじっくり見れば、繊細で色鮮やかな草花に満ちていた。小さく黄色い花を連ねるキンミズヒキ、桜のミニチュアのようなサクラタデ…。四季の草花を「美山の宝」として愛を注ぐようになった。 趣味の工作でその魅力を伝えようと、22年に福知山高等技術専門校でさまざまな素材の加工を身に付けた後、23年10月から活動している。 樹脂に封入したストラップや、ラミネートした植物をのぞく万華鏡、レトロ調に写真を印刷したしおりなどを手がけてきた。レーザーで葉に文字を切り抜くなど、多様な加工方法によって素材の魅力を引き出す。 同町の京都丹波高原国定公園ビジターセンターなどで土産品として販売する。「旅の思い出に連れて帰って」と願う。 工作や自然観察の講座も同センターの協力で催し、地域内外の親子連れから人気を集める。 美山はシニアも若手も「面白いことに挑戦し、応援しあう風土がある」。Uターンを決めたり、クラフト活動を始めたりした時も、前向きな地域性に後押しされたという。 「刺激をもらってきた。今度は自分が応援する側になり、好循環につなげたい」