子どもを叩いてしまいそう...児童虐待を防ぐために知っておくべき法律の話
虐待かも? と感じたら
では、みなさんの近くで、「もしかしてこれは虐待では?」と疑われる子どもを発見したときは、どうしたらいいでしょうか。 ご近所やママ友に意見をするなんて、なかなかできないことだと思います。ほかの家の育児に口をはさむのは簡単ではありませんし、人間関係が壊れてしまうかもしれません。 でも、できることもあります。可能であれば、匿名で、「児童相談所」などに相談してみてください。 通報した人がだれなのかについての秘密は、固く守られています。また、虐待かどうかは児童相談所が判断しますから、たとえ虐待でなかったとしても、相談した人が責められることはありません。 ところで、「児童相談所」って? みなさんは、児童相談所について、どんなイメージがあるでしょうか。 児童相談所は、児童福祉法という法律にもとづき、“児童虐待への対応の中核を担う行政機関“として、都道府県に設置されているものです。 児童相談所が虐待の通告を受けると、このあと詳しく説明するようなものも含めて、適切な措置をとることになります。 最近は、子どもの安全確認・安全確保のために、積極的な介入が期待されています。子どもの命にかかわる緊急性のあるケースが少なくないためです。 また、児童相談所はほかにも、児童や保護者へのさまざまな支援をおこなっています。子どもの発育についての相談、障がい・非行・不登校などの相談・支援など、いろいろです。
子どもを保護する
では、児童虐待について児童相談所がおこなう措置には、具体的にどんなものがあるんでしょうか。 まず重要なものとして、「一時保護制度」があります。これは何かというと、緊急に子どもを家庭から一時的に引き離す必要があるときに用いられるものです。親などの意思に反しておこなうことができる、すごく強い制度です。 また、必要であれば、「児童養護施設」に子どもを入所させる判断もします。 「児童養護施設」とは、災害や事故、親の離婚や病気、または不適切な養育を受けているなどいろんな事情によって、家族による養育がむずかしい子どもたちが暮らすための施設です。現在、全国各地の施設に約3万人が暮らしています。それぞれの自立目標に合わせた支援計画をもとに、児童指導員、保育士などの専門職の人たちが、子どもたちの養育をおこなっています。