アウトドアサウナも! 森林浴発祥の地・赤沢自然休養林を歩き、五感で自然を体感[FRaU]
岩を飛び越えながら川沿いまで下ると、巨大な奇岩とエメラルドグリーンの川面が眼前に広がる。真っ白な岩肌を見せているのは、この地域の地層を構成する花崗岩。木曽川の急流に侵食されてつくられた鮮やかでダイナミックな景色を前に「SF映画の世界みたい」と安藤さんは息を飲む。
悠久の歴史を生きる、木曽ヒノキの天然林
寝覚の床から車で約30分、赤沢自然休養林(以下:赤沢美林)に到着。標高1000mを超えるこの場所は、車を降りた瞬間からひんやりとした木々の息吹を感じる。森林浴発祥の地としても知られ、呼吸を繰り返すだけで心が洗われていくよう。
駐車場から少し歩くと、遠くから機関車の汽笛が聞こえてくる。音のする方へ向かうと、そこには「赤沢森林鉄道」の乗り場があった。
この鉄道は、1975年まで木材運搬のために木曽の山中を走っていたものを復元。林業発展の歴史を支えた大役を終え、現在は赤沢美林内を運行する観光列車として訪れた人々を運んでいる。季節を映す木々の色と、爽やかな風を感じながら走る道のりは、森林浴の楽しみ方のひとつなのかもしれない。
「森林鉄道に乗ったら、停車場で降りて歩いてみるのがおすすめ。植物をもっと近くに感じて、立ち止まって触れる楽しみも味わってほしいんです」
そう語るのは、この日赤沢美林を案内してくれた吉川正樹さん。木曽の山々の伐採をはじめ、国有林の森林整備などを手掛ける「ひのき精香株式会社」の代表を務めている。
赤沢美林に生い茂る木曽ヒノキは高級材として知られる特別な木。吉川さんは「このあたりの地層は花崗岩でできていて、その上に木が生えている。根を地中深くに張ることができないので、横へ横へと伸ばしていくんです。隣の木の根も巻き込みながら、絡みつくように生える特徴があります」と教えてくれた。
さらに傾斜が急で険しい木曽の山は日照時間が短く、冬は厳しい寒さと深い雪に包まれる。そんな環境で育つ木曽ヒノキは、通常の3倍近い時間をかけて育つのだという。