「国民民主」に絶対できない政策で「立憲」が形勢逆転する方法 「原発再稼働」の条件に「避難計画」を盛り込むべし 古賀茂明
■「野田さんは元々動かない人」との声も さらに、これが実現すれば、自民・立憲による賢い政策協議の前例ができ、その後の税と社会保障の抜本改革などでの成果に繋げる突破口になるかもしれない。 前述のコラムで挙げた企業・団体献金廃止、同性婚を認める民法改正法案提出、そして、避難計画を原子力規制委員会の規制対象とすることについて、野田代表は、明日にでも、テレビカメラを引き連れて、玉木代表のところに乗り込み、これらの提案に賛同するよう即答を求めるべきだ。 玉木代表が面会を断ったり、カメラ入りを拒否したりすれば、なぜ玉木代表がそのような行動をするのかについて、記者たちに解説して、記事を書いてもらえば良い。 それと同時に石破首相とも協議を始める。これによって、政治の大きな課題について、国民民主ではなく、立憲が中心になって自民の政策を変更していくという流れを作れるだろう。 もちろん、石破首相は、何らかの見返りを求める。それがなければ、立憲を無視して国民民主に何か手柄を与えて、25年度予算案への賛成を引き出そうとするに違いない。 野田代表が知恵を出して、どんな取引材料を示せるのか。それが、野党第1党の代表としての実力の見せ所だ。とにかく、自民党政治の基盤を揺るがす企業・団体献金廃止が最重要課題であるから、石破首相が賛成ないし限りなく上限をゼロに近づけたり、それについて党議拘束を外すと言ったりすれば、何か他の項目で名目的な譲歩を勝ち取った上で、25年度予算の成立に協力することも考えられる。何もしないでただ反対と叫んで予算成立を遅らせれば、予算委員長ポストを握る立憲に対して国民の批判が集中する恐れがあることにも留意が必要だ。 企業・団体献金をめぐる自民内の対立を煽れば、石破おろしの動きが強まり、これを避けたい石破首相を夏の衆参同時選挙に追い込むことができるかもしれない。 さらに、ダブル選後に企業・団体献金廃止法を成立させれば、自民の息の根は止まり、その後に、与野党を超えた政界再編を行い新たな政権の枠組みを作るというシナリオもあり得る。 このような考えを披露すると、賛同してくれる立憲の若手議員は結構いる。しかし、聞こえてきたのは、 「党内では、国民民主が主役になっていることに危機感が広がっているのに、自分は全く動こうとしない野田さんに不満の声が高まっています」 「国民民主との間で政権交代のために政策合意をと野田氏は言うけど、国民民主にすり寄るだけではという心配もあります。原発についても、国民民主に合わせて立憲が原発推進の姿勢になってしまうかもしれません。そもそも、野田さん自身が脱原発ではないですからね」 「野田さんは元々動かない人ですから、無理ですね」 などという反応だ。 哲学がない。汗をかかない。政策がわからない……という声は前からあった。 そんな代表をどうして選んだのか。 野田代表がダメなら、他にリーダーがいるのか? 年明けから夏にかけて、立憲でも、自民党同様、大きな動乱が起きるような気がしてならない。
古賀茂明