「国民民主」に絶対できない政策で「立憲」が形勢逆転する方法 「原発再稼働」の条件に「避難計画」を盛り込むべし 古賀茂明
■国民民主が絶対に賛成できないテーマ また、企業・団体献金廃止についても、実は、石破首相は追い詰められればのむ可能性があると私は見ている。既に、自民は、企業・団体献金の上限(現在は資本金などに応じて年間750万円~1億円)を下げるという提案を出した。ひとたびこの議論を始めれば、これだけ世論の批判がある中では、バナナの叩き売り状態になるだろう。その先には、ゼロまで下げる、すなわち企業・団体献金廃止が見えてくる。 国民民主は、企業・団体献金を何とか残したい。世論の批判を恐れて、色々言い訳しながら明確な態度を示していないが、11月27日の野党の協議をボイコットしたのは、これを問い詰められると困るからだろう。 石破首相に同性婚容認をのませ、企業・団体献金廃止を完全ではなくとも前進させれば、いずれも立憲・野田代表の大手柄となり、逆に、国民民主・玉木代表は抵抗勢力として有権者の批判を浴びるだろう。 ちなみに、石破首相がこれらをのむと、自民内は大騒ぎになるだろうが、それが見えた方が、石破首相の支持率は上がるので、追い込まれている石破首相にとってはむしろ得になるということも頭に入れておくべきだ。 今回は、もう一つ、国民民主が逆立ちしても賛成できないテーマで、石破首相が譲歩する可能性のあるテーマを紹介しよう。 それは、原子力発電の問題だ。最近、自民党内では河野太郎前デジタル相や小泉進次郎元環境相などが変節し、脱原発派は消滅したように見える。東京電力福島第一原子力発電所の事故後は圧倒的に脱原発を支持していた国民世論も、徐々に原発反対の色を薄めている。これを受けて、岸田文雄前首相は、原発依存度を下げるというそれまでの自民党の方針を廃し、原発を可能な限り活用するとともに、新増設まで認める方針を打ち出した。 ただし、実際に原発を動かすには原子力規制委員会の審査をクリアし、地元自治体の同意も受けなければならない。そこで、政府あげて、自治体への働きかけを強めていたが、今年元日に能登半島地震が起きた。このとき、北陸電力志賀原発周辺の道路は寸断され、大地震によって原発事故が起きれば、周辺住民全ての避難を行うことはほぼ不可能だということが改めて認識され、原発周辺の住民は不安を強めている。 そこで、野田代表は、石破首相に、避難計画を「原子力規制委員会」の審査事項にして安全確保に万全を期すことにより原発再稼働を推進しようと提案すれば良い。 と言うと、ほとんどの国民は、「そもそも、避難計画は規制委の審査を受けているのでは?」と首を傾げるだろう。しかし、実際には、避難計画は規制委の審査対象外だ。