今年も「つまらない」「学芸会」…『THE W』が”視聴者感情を逆なで”し、厳しい声が飛び交ったワケ
なぜ審査員と視聴者は乖離したのか
お笑い好きの中には、他の賞レースのようにネタを語らない一方で、「それを言ったらおしまい」という残酷な指摘をする人もいる。 3日前に放送されたばかりの『THE MANZAI』(フジテレビ系)と比べた上での酷評が散見されたほか、女王になったにぼしいわしが『M-1グランプリ』で「2年連続3回戦敗退中」という指摘もあった。なかには、サッカーの日本代表戦と日本女子代表を比較して、「レベルに差があるのは仕方がない」とみなすなど存在意義を揺るがすような声もある。 そんなレベルの指摘はネタに留まらない。ネタ前後のトークでMCから話を振られても笑いを取れないファイナリストが多かったこと。逆に笑いを取れたトップバッターのやましたは早々に敗退してしまったことなどをあげてトークレベルの低さを訴える声もあった。 あまり知られていないが、お笑い賞レースは長時間の生放送だけにネタ以外のトークパートも重要。カットできないため面白くなければ笑いの密度が薄くなり、「つまらない」という印象が増してしまう。 視聴者は日ごろバラエティで芸人がフリートークで笑いを取る姿を見慣れているが、生放送ではハードルがグッと上がる。その意味で“平場力”に不安の残るファイナリストが多い『THE W』は制作サイドがトークの想定台本を固めておくくらいのフォローが必要なのかもしれない。 そしてもう1つ、今大会への批判で顕著だったのが、審査結果への不満。勝敗は審査員6人に視聴者投票の1票を加えた計7票の獲得数で決まるのだが、今大会は審査員と視聴者投票の乖離が著しかった。 視聴者票が入った上で勝ったのは10戦中3回のみに留まり、しかもそのうち2回は誰もが同意しそうな満票での勝利。ネット上に「面白くないほうが勝っていく不思議な大会」「あまりに民意とかけ離れている」などの声があがっていたように、審査員と視聴者の見解がいかに乖離していたかがわかるだろう。 もちろん審査員それぞれに審査基準があり尊重されるべきだが、結果を見る限り“大衆性”というポイントに欠けた感は否めない。「そもそも何のために芸を披露するのか。大衆に見てもらうための芸ではないか」という前提が抜け落ちた審査が続く限り、『THE W』への不信は続いていくだろう。 さらに審査員たちには、「番組全体の多くを占める彼らのコメントが面白くなければ『THE W』そのものも面白くない」という難しさがある。ほぼ称賛一色で批判を避けるようなコメントからいかに抜け出せるか。その課題は来年に持ち越された感がある。