Q:破産する新興企業のEVは買っても大丈夫? フィスカー・オーシャンは「お買い得」なのか
今、いくらで買えるのか
驚くべきことに、このような状況にあっても、英国ではオーシャンの新車や中古車が売れている。オーナーズクラブの1つに、フィスカー・オーシャン・オーナーズUKがある。会員はソフトウェア・アップデートについてWebサイトに投稿しており、中には成功した人もいるようだ。 少し古い投稿では、いくつか深刻な問題についても言及されている。しかし、フィスカーの訪問サポートチームの評価は上々なようだ。 イングランド南東部の代理店EV Expertsは未だに販売促進活動を行っており、1日に最大2回の試乗会を開催したという。 EV Expertsの共同設立者であるエステル・ミラー氏は取材に対し、「当社ではデモンストレーションを行っていますが、フィスカーは、納車前点検に必要な工具が壊れている問題で新車の納車が遅れている、と言っています」と語った。 EV Expertsには2台の展示車がある。3万9120ポンド(約800万円)のオーシャン・ウルトラと4万4075ポンド(約900万円)のオーシャン・エクストリームだ。 他の地域では、独立系ディーラーがほぼ新車同然の中古車を販売している。キングズ・リンのディーラーでは2か月前に入荷した16台のうち、5台のエクストリームと1台のスポーツが残っている。走行距離は少なく、1年のRAC保証が付属する。 例えば、オーシャン・エクストリーム、ツインモーター(4WD)、113kWhバッテリーで2023年登録、走行距離1680kmの個体は2万8558ポンド(約580万円)だ。
下がり続ける中古車の価値
購入方法としては現金ではなく、PCPという残価設定ローンが安全かもしれない。PCPは頭金の支払いの必要がなく、一定期間月次で支払いを行うもので、最終回の支払い後は車両の返却、または契約時に設定した残価での買い取りが可能だ。 フィスカーの経営難が広く知られるようになると、オーシャンの中古車の「価値」は大きく落ち込んだ。英国で残価情報などを取り扱うCap HPIは、5月だけでオーシャンの残価見込みを48%も引き下げている。倒産発表後の7月には、さらに10%下げた。 Cap HPIの予測戦略責任者であるディラン・セッターフィールド氏は、「これらの下落を受けて、5月末にオーシャンの3年間予測を平均でさらに31%引き下げた。引き続き状況を注視していく」と述べた。 車両保険に関しては、上記のオーシャン・エクストリームに対してAdmiral社から797ポンド(約16万円)の見積もりが提示された。しかし、スペアパーツの入手可能性や修理期間への影響を考えると、保険会社がいつまでカバーしてくれるのかは不明瞭だ。 Admiral社の広報担当者は、「このような状況を踏まえ、フィスカー・オーシャンの新規加入を継続するかどうか検討中であり、修理ネットワークと連絡を取り合っている。既存のお客様におかれては心配が多いかと思うが、当社は引き続きサポートしていく」と述べた。