年齢の節目を迎える「不安」と向き合うためのアドバイス。
節目に差し掛かるたびに我々は自問し、心を揺さぶられ、変わっていく。変わり目を飛躍に変えるためのプロの見解は? これは数字が持つ力なのだろうか? 10の位が変わる誕生日に、自分の年齢もセルフイメージもひっかき回される。 「まるで人生の新たなチャプターを開こうとしているような気分ですよね」と臨床心理士のジョアンナ・ロゼンブルムは言う。著書『Déconditionnez-vous ! 』(編集部註:邦訳は『コンディションを整える!』、Le Courrier du Livre出版。日本未発表)の作者でもある彼女によれば、この大きな節目を好奇心と自信を持って楽観的に迎える人がいる一方で、すでに成し遂げられているべき(と自分で思っている)ことが未解決のため、つまずいてしまう人もいるそうだ。 「この悩みのせいで前に進めなくなるのです。殻に閉じこもって、くよくよ考え込んでしまう傾向を乗り越えるには、生きがいを見出し、答えを見つける必要があります」 セラピストのロラン・ユズによれば、人生には大小さまざまなサイクルがあり、試練を乗り越えることで次のステップに進めるのだという。心の成長とともに人生の意味を見失うこともある。「人は人生の転換期のたびに、恐怖や自分の限界に直面します。新しいものに対するエネルギーの糧になる決断ができるか、あるいは停滞状態にとどまる決断をしてしまうのかは、各人の感情の成熟度によって変わってきます。自信と自己肯定感を育むことで常に自分をダイナミックな成長過程に置くことができるようになります」
社会の定説を疑う。
悩みはまた別の要因、誰もが少なからず影響されてしまう社会的な要求によって生じている場合もある。仕事、結婚、出産...「社会は30歳、40歳、50歳のあるべき姿の規範をつくっています。そしてそれは常に変化しています」と『L'Art du questionnement. En thérapie et en accompagnement 』(編集部註:邦訳は『質問の技術:セラピーとサポート』、Interéditions出版。日本未発表)の著者でもある彼は指摘する。 たとえば1970年代は、平均的に25歳で子どもをもうけていた。最近は29歳が平均だ。「30歳なのにまだ独身で子どもがいない」と、人生の挫折を訴える患者もいます」とジョアンナ・ロゼンブルムは言う。われわれを閉じ込め、自分を無能だと思わせる定説は、実はわれわれの親の世代の夢に過ぎないかもしれないと疑問視することができれば、心は上向くはずだ。 心が乱れることなく節目を乗り越えるには、それについて話すことが必要だ、とカウンセラーはアドバイスする。もし周りの人と話すのが難しければ、プロに頼ってほしいと言う。「決断を下すことによって、堂々巡りしたり、落ち込んだり、自分を追い詰めたりする不毛な思考の先に進むことができるようになります」と専門家は続ける。 また、一つの事案が落ち着くのを待つ間に、別の新たなプロジェクトに取りかかって、人生を押し進めていくこともできる。『Oser transformer sa vie à 30, 40 ou 50 ans ! 』(編集部註:邦訳『30代、40代、50代で人生を変える勇気を!』、Eyrolles出版。日本未発表)の著者であり、コーチングや生涯教育の専門家であるパスカル・ド=ロマによれば、堂々巡りしてしまう時は......急がば回れ! 「節目を迎えると、心の動きが加速します。質問が次から次へと脳裏をよぎる。すぐに解決せねばと思ったときこそ、変化は思うよりも時間がかかるものだということを思い出してください」 このような過程は節目の1、2年前に現れ、その後も続く。それは実は何か新しいことを試してみたいという気持ちに突き動かされているのだ。時の経過とともに経験したものがわれわれを形づくっていく、自分が変わったと感じる故だ。 さらにコーチングの専門家は言う。漠然とした思いは、プレッシャーを掛けずにそのまま自分の中で熟成するのを待ってあげるのがいい、と。成長は時に煩わしいものだ。「落ち込むことがあるのはごく自然なこと。うつ病になったわけではありません。人生は常に輝かしいものではないのです」