J2新記録となる開幕9連勝 湘南ベルマーレはなぜ強いのか?
「リードしているときに、こちらが腰を引いて戦う必要はない。それが去年の僕に足りなかった点だと反省している。選手たちも守り切るよりは、攻め切って勝つほうがいいと思っている。甘いと言われるかもしれないけど、浦和との試合をベースにしなきゃいけない」 昨シーズンの3トップの一角から、左ワイドにポジションを変えた背番号10の菊池大介は言う。「去年はどれだけ走ってもワンチャンスで相手に決められて負ける、どれだけチャンスを作ってもゴールを奪えずに負ける、という試合がすごく多かった。J1でできなかったというか、やらせてもらえなかった部分を見すえて、J1仕様で練習している」 決してJ2のチームを見下ろしているわけではない。相手をリスペクトした上で目標を高く設定し、日々の練習から最大限の努力を惜しまない。その先に待つ「湘南スタイル」の進化形を、チョウ監督は「数的優位を作り続けること」と思い描いている。「リスクを冒す勇気は持てるんですけど、持ち続けることが意外に難しい。90分間を通してそれができれば、相手がダメージを受けると僕は思っている」 J1での戦いでは苦戦を余儀なくされたが、それでも決してベクトルがぶれなかった点、成長したいという意欲をチーム全体が抱き続けたことを把握できていたからこそ、眞壁社長を筆頭とするフロントもチョウ監督に迷うことなく3シーズン目の指揮を託したのだろう。 オフの間に高山薫と韓国代表にも名前を連ねるハン・グギョンの両MFが柏レイソルに移籍し、期限付き移籍中だったDF大野和成がアルビレックス新潟に復帰した。それでも永木や遠藤、菊池が残留し、菊地や三竿らの大卒の有望株が加入してきたのは、ベルマーレに魅力と可能性を感じたからに他ならない。 複数のJクラブの練習に参加し、最終的にベルマーレを選んだ菊地は「J2のチームということは関係なかった」と日体大から加入した経緯を振り返る。「練習に対するみんなの姿勢もそうだし、若い選手が多く、競争が激しいベルマーレならば自分もより成長できると思ったので」