J2新記録となる開幕9連勝 湘南ベルマーレはなぜ強いのか?
わずか3秒で流れを変えた。1点ビハインドで迎えた前半17分。湘南ベルマーレのDF丸山祐市が自陣中央からタテパスを通す。センターサークル付近でボールを受けたMF菊地俊介が、振り向きざまにゴール前へ再びタテパスを送る。横浜FCの最終ラインに生じていたギャップを突いて、トップスピードで走り込んできたFW岡田翔平がゴール右隅へ豪快に蹴り込む。電光石火の同点劇とともに、ベルマーレの勢いが一気に増す。5分後にはまたも菊地のタテパスから作ったチャンスでPKを獲得。岡田が放った一撃は横浜FCのGK南雄太に止められたが、こぼれ球を岡田が詰めて逆転。43分にはFKをFWウェリントンが頭で決めて、前半だけで勝負を決めた。 26日、湘南は、“神奈川ダービー”となるアウエー戦で横浜FCを3-1で下して開幕9連勝を成し遂げた。2000年に浦和レッズがマークした8連勝を14年ぶりに更新するJ2新記録。J1記録は昨シーズンの横浜F・マリノスの6だから、Jリーグ記録をも塗り替えたことになる。開始早々の6分に右サイドを崩され、MF小池純輝に先制点を許した。ビハインドを背負う展開は、実は9試合目で初めてだった。しかも、3日間に及ぶ非公開練習を経て臨んできた横浜FCは、それまでの4バックからベルマーレとまったく同じ3バックシステムを敷いてきた。 J1で王者サンフレッチェ広島と対峙するチームが、同じ3‐6‐1システムで封じ込めにくる「ミラー戦法」。しかし、初めて先制された状況に、そして相手の奇策に、ベルマーレが動じることはなかった。連勝記録が伸びれば、それだけ相手のマークも厳しくなる。それでも、ベルマーレを率いて3シーズン目となるチョウ貴裁(キジェ)監督は意に介することなく、別の次元を見据えていた。 「たまたま勝っていますけど、まだまだやらなきゃいけないことだらけですから。対策をされてどうこうというのはない。対策を練られてもいいくらいの強さを、身につけていかなきゃいけない。逆転勝ちができるチームにならないといけない、とずっと言ってきたので」